第1部 ゼロの使い魔
第8章 土くれのフーケ
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『土くれ』の二つ名で呼ばれ、トリステイン中の貴族を恐怖に陥れているメイジの盗賊がいる。
土くれのフーケである。
神出鬼没の盗賊。
メイジの盗賊。
それが土くれのフーケなのであった。
行動パターンが読めず、トリステインの治安を預かる王室衛士隊の魔法衛士たちも、振り回されているのだった。
しかし、盗みの方法には共通する点がある。
フーケは狙った獲物が隠されたところに忍び込むとき、主に『錬金』の魔法を使う。
『錬金』の呪文で扉や壁を粘土や砂に変え、穴をあけて潜り込むのである。
そして、犯行現場の壁に『秘蔵の????、確かに領収いたしました。土くれのフーケ』と、ふざけたサインを残していく。
さらに、フーケはマジックアイテム…強力な魔法が付与された数々の高名なお宝が何より好きということであった。
巨大な二つの月が、五階に宝物庫がある魔法学院の本塔の外壁を照らしている。
二つの月の光が、壁に垂直に立った人影を浮かび上がらせていた。
土くれのフーケである。
長い、緑色の髪を夜風になびかせ悠然と佇む様に、国中の貴族を恐怖に陥れた怪盗の風格が漂っている。
フーケは足から伝わってくる、壁の感触に舌打ちした。
「さすがは魔法学院本塔の壁ね……。物理攻撃が弱点?こんなに厚かったら、ちょっとやそっとの魔法じゃどうしようもないじゃないの!」
足の裏で、壁の厚さを測っている。
『土』系統のエキスパートであるフーケにとって、そんなことは造作もないのであった。
「確かに、『固定化』の魔法以外はかかってないみたいだけど……、これじゃ私のゴーレムの力でも、壊せそうにないね……」
フーケは腕を組んで悩んだ。
強力な『固定化』の呪文がかかっているため、『錬金』の呪文で壁に穴を開けるわけにもいかない。
「やっとここまで来たってのに……」
フーケは歯噛みをした。
「かといって、『破壊の剣』を諦めるわけにゃあ、いかないね……」
フーケの目がきらりと光った。
そして腕組みをしたまま、じっと考え始めた。
フーケが本塔の壁に足をつけて、悩んでいる頃……。
ルイズの部屋では騒動が持ち上がっていた。
ルイズとキュルケは、お互い睨み合っている。
ウルキオラは椅子に座って、タバサはベットに座って本を読んでいる。
「どういう意味?ツェルプストー」
腰に両手を当てて、ぐっと不倶戴天の敵を睨んでいるのは、ルイズである。
キュルケは悠然と、恋の相手の主人の視線を受け流す。
「だから、ウルキオラに似合う剣を手に入れたから、そっちを使いなさいって言ってるのよ」
「おあいにくさま。剣ならもう間に合ってる
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