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机に叱られて
第六章
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第六章

「これ着たら寒くなくなるわよ」
「いいのか?貰って」
 雄亮はその莉奈に顔を向けて問うた。
「これを」
「いいのよ、貰って」
 その彼ににこりと笑って告げた。
「そのつもりで持って来たし」
「だからか」
「そうよ。だからね」
 ここでまたにこりと笑ってみせた莉奈だった。
「是非ね」
「つまりこれは」
 雄亮は鈍くなかったようである。ここで莉奈が何を考えているのかわかった。そうしてそのうえで彼女に対して問うのであった。
「そういうことなんだな」
「駄目かしら」
「いや、有り難う」
 彼はこう返した。
「それじゃあな」
「いいのね」
「そうだったんだな」
 声は無愛想だったが気持ちは伝わっていた。
「それでだったのか。ずっと」
「ええ。隠していたのは」
「それは言わなくていい」
 そこから先はこう言って止めた。
「それはな」
「そう」
「着させてくれ」
 そしてまた莉奈に言ったのだった。表情も愛想がないがそれでも言ったのは事実だ。
「ずっとな」
「ええ、御願い」
 夜になった校舎の中でにこりと笑って応えた莉奈だった。その最終作戦は成功したことを喜ぶ、その笑顔を暗がりの中で輝かせていた。
 翌日机に対して話をする。ここでも皆が周りにいるのでお互い怪しく思われないように小声で話し合っている。しかも顔をうつ伏せにして寝たふりをしながら。
「上手くいったのね」
「ええ」
 まさにそうだと答える莉奈だった。
「本当にね。上手くいったわ」
「これで彼氏ゲットね」
「嘘みたいよ」
 思わずこう言ってしまった莉奈だった。
「何かこれって」
「嘘じゃないわよ」
 しかし机は笑った声でこう言うのだった。
「それはね」
「嘘じゃないの」
「あんたが彼氏できる以上に嘘みたいなことが実際にあるじゃない」
「実際にって?」
「私が今こうして喋ってるじゃない」
 机が言ったのはこのことだった。
「それがもっと嘘みたいでしょ」
「それを言ったらそうだけれど」
 実は今までそれが極めて不思議だった。だがあえて深くは問わなかったのだ。何しろ自分から妖怪や化け物の類だと言っているからである。
「まあね」
「私がどうして喋れるか知りたい?」
 机がその話をしてきた。
「何でか。知りたいかしら」
「じゃあ聞くわ」
 実際にそれを聞く彼女だった。
「何でなの?やっぱり長い間学校にいるから?」
「そうよ」
 それだと答える机だった。
「私はね。まあ他の机や椅子もそうだけれど」
「この学校に長くいて」
「それであんた達と一緒にいるでしょ。長い間人の気を受けていてね」
「喋られるようになったの」
「そういうことよ」
 ここでその真相を話すのだった。
「わかってくれ
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