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【短編集】現実だってファンタジー
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神話伝承相続権 その2
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の力はあまりないようですな』

さっきから聞いてばかりの身だったが、その言葉の意味には心当たりがあった。

「ああ、えーっと……そうそう確か「神成らぬ者」から来た資料に書いてあったな。えっと、伝承には多面性があるので全ての側面で一致するとは限らない、だっけ?」
『然り。例えば父上には母であるイザナミの陰部を焼いたという炎神の面と、神産みという特異面がありまする。父上は後者を色濃く受け継いだわけですな』
「へぇ、あれって生み出した神にも適用されるルールだったのか……」

そう世の中都合よくはいかないか、と妙に納得した。
だがタケミカヅチの方は少々不満らしく、ぶつくさ文句を言っている。

『まったく「神成らぬ者」だか何だか知りませぬが、随分と中途半端な「しすてむ」にしてくれたものです!そもそも何なのですか連中が授ける神話伝承の力とは!?下手をすればソレガシの丸パクリ能力を持った者もおるやもしれぬということでありましょう!?勝手にソレガシを増やすなと言うのです!』
「君を作った時点でタケミカヅチ増えてるけどね」
『ソレガシは父上の血を媒介に「降りて」まいった「分体」なので、本物の神格にございまするっ!!権能を模しただけの模造品とは違うのでありまするっ!!』

その理屈だとおれっちも模造品なのですが、と言ってみたが、そう言うとタケミカヅチ達は一斉に首を横に振った。

『そも、本来の父上たるカグツチさまは赤子のままに殺されてしまったため、伝承のなかに自我というものが全く存在いたしませぬ。つまり、カグツチさまは神話の存在でありながら己の意志はなく、神産みもイザナミおばあさまから力を受け継いだだけ。過程が無く結果だけの神なのです』
「つまり……様々な過程あって手に入れたその力を模倣されるのでは納得は出来ないけど、おれっちはただ単に同じ特徴を受け継いでいるだけだと……?」

彼等が言いたいことはつまり、宮本武蔵の二刀流という力を与えられることと、宮本武蔵と同じ身体能力の人間が出てくることの違いなのだろう。前者は生前の宮本武蔵の努力という過程をすっとばしているが、後者はただ同じ才能を秘めただけで、その後に剣を極められるかは本人による、ということだ。

『人間は所詮人間。ゆえに力を得てもそれは虎の威を借りているだけの事にありまする』
『ですが、過程のない神であるカグツチさまの力を得た父上は、たった今生きているという時点で源のカグツチさまを越えているのですよ』
『それは未来へ続く者が過去の神話を乗り越えたという事なのです』
『まーそれを与えたのが「神成らぬ者」とかいう連中なのは結構気にくわぬのですが……連中め、何故神仏英霊を貶めるような真似をしているのだ?』

神たちの「神成らぬ者」に対する愚痴大会が起きそうだったので閑話休題
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