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【短編集】現実だってファンタジー
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神話伝承相続権 その2
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る!ソレガシは父上の持つ『神産み』の力によってたった今誕生した『タケミカヅチ』でありまする!!』
「あーハイハイおれっちの能力でねぇ…………能力?」
『然り』
「…………」

停止しかけていた脳がようやく回転を取り戻す。
というと、つまりこの小人は伝承者としておれっちが生み出したと……?

『………父上?まさか、自分の能力をちゃんとご存じない……?』

図星である。

「………なんか申し訳ねぇ」
『う、うぬ』

2人の間に気まずい沈黙が流れる。が、その沈黙も長くは続かなかった。

『ちちうえー!クラミツハ、ただ今誕生いたしましたぁ!!』
「うおぉ!?流し台から新しいの出てきた!?」
『父上の流血よりミカハヤビ誕生でアリマスー!』
『ヒハヤビも誕生でアリマスー!』
「ぬああ!?足元から新しいの出てきたっ!!」
『父上父上〜!アタシはクラオカミだよ!』
「ふおおお!?まな板から新しいのが!?」
『遅ればせながら、イワサク・ネサク兄弟も馳せ参じました!』
『ましたー!』
『イワツツノヲ推参にござい!!』
「ぐあああああ!また増えたぁぁぁ!?」


しばらくお待ちください………


「……つまりお前ら、おれっちが包丁で指を切った時の流血から誕生した正真正銘の『神』ってことか……?」
『その通りにございまする!』
『ですー!』

ちみっこい神様が嬉しそうに頷いてる。どうしよう、やっぱり可愛い。神の威厳が感じられないのもその原因だろうがだ、おれっちを父親と呼び慕ってるのもあって本当に父親気分になってしまいそうだ。こう……小動物的な可愛さが、ね?

そもそも、カグツチから生まれた神は血から生まれたものと死体から生まれた者に二分されるらしく、血から生まれた神たちはカグツチを切った剣であるアメノオハバリの影響を強く受けて戦いに纏わるものが多いそうだ。
そして包丁で指を切った拍子に出た血液からこいつらはポコポコ生まれて来たそうだ。

『父上、なでなでしてー!』
「はいナデナデ〜」
『父上の手はあったかいのう〜……』
『あー!ずるいわよヒハヤビ!父上、このミカハヤビめもなでなでを要求いたしまするー!』

なんとファンシーな連中なのだろう。さっきからクラミツハとクラオカミに指の治療をしてもらいながら、俺はしばし何といえばいいか分からなかった。男の子か女の子かも分かりにくいこのマスコット的連中が神などと言われても、にわかには信じがたい。

実際、ナデナデされて喜ぶミカハヤビとヒハヤビは「うにゃー」とか「はにゃー」とか気の抜けた声でほっこりしてるし、クラミツハとクラオカミが神通力的な光で止血して2人がかりで絆創膏を貼っている様は健気だ。

「神成らぬ者」から送られてきた資料を読み返すと
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