幽鬼の支配者編
EP.28 聖十大魔道の力
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っている。
それが何故かは分からないが……今はそんな事をゆっくりと考えている暇はない。
エルザは半分命令するように、辛そうに息をついている彼に声を掛けた。
「……やっぱりお前は下がれ、私が前に出る」
「その足じゃ……。俺は、平気、だ……まだ、やれ、る……」
「でも―――――」
= = =
「(ええい、忌々しい小僧どもだ)」
言い合いをするように二人が話し合っている間に体勢を整えたジョゼは、まともとは言えない戦法で、一瞬とはいえ冷や汗と悪寒を感じさせたワタルに強い憤怒を抱いていたが……同時に彼の冷静な部分が、自他ともに認める彼の優秀な頭脳を回して考察をしていた。
「(やはり、小僧のあの光は『退魔の光』で間違いないですね)」
光が発現してからの幾合か打ち合いの中、ジョゼは観察に徹していた。
それでも傷を負っていないのだから、対峙している二人の精神的勤労も凄まじい事になっている。
「(『退魔の光』……確か、東方の魔法を記した古い文献に名を残していた、魔を滅し邪悪を祓う光、でしたね。それにヤツが“魂威”と呼んでいるものは、純粋な魔力を打ち込み、体内でエーテルナノの拒絶反応を起こさせる技術か……)」
どちらも魔導士の天敵と言っていい。
“魔女狩り”の光を見た時、『触れてはいけない』と感じたのはこれか、とジョゼは納得しながら考察を続ける。
「(まるで、対魔導士に特化……いや、それどころか魔導士を殺すための存在といってもいいですね……ん?)」
そこまで思い至った時、ジョゼはなぜか既視感を覚え、内心で首を捻った。
どこかでそんな存在を見た事が、或いは聞いたことが無かっただろうか――――
「まさか、貴様は…………」
その答えに至り、ジョゼがワタルを見て口を開いたその矢先……巨人全体がまるで嵐の真っただ中の船のように揺れたかと思うと、主にジョゼの魔法の余波によって凄惨な有様になっていた大広間の壁に亀裂が走った。
そして、大広間……いや、巨人全体が、衝撃と轟音と共に真っ二つに割れて崩れ落ちる。中心に位置していた大広間も真っ二つだ。
同時に上階で絶え間なく響いていた爆音と轟音が止み、元・大広間に静寂が満ちた。
「ナツだな」
「ああ、奴だな」
戦闘の余波でこんなに滅茶苦茶に壊すのは、妖精の尻尾一の問題児以外に有り得ない、とばかりにワタルとエルザが間髪入れずに口を開く。
二人の表情は、信頼している初めての後輩魔導士が勝利した事に対する歓喜で満ちていたのだが……
「ククク……よく暴れまわるドラゴンだ……ククク……」
滅竜魔導士同士の争いに自軍
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