幽鬼の支配者編
EP.28 聖十大魔道の力
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ち倒されているだろう――客観的にそう断言できるほど、二人の連携は高度なものだったのだ。
「エルザ!」
「! ……ああ!」
アイコンタクトと共に短く呼ぶワタルにエルザは頷くと、その体を魔力光で覆った。
光が止むと、全身を黄色の鎧に身を包んだ彼女が姿を現す。
投擲力を向上させる“巨人の鎧”だ。
彼女は飛んできたワタルの片足を掴むと……
「はあああああああああああああああああああぁぁああっ!!」
「おおおらああああああああああああああああぁぁああっ!!」
「なっ!?」
負傷していない方の足を軸に一回転し、ワタルの身体をジョゼ目掛けて力一杯に投げ飛ばした。
鎧の効果で上昇した投擲力に加えて、ジョゼが起こした爆発の勢い、それに遠心力をも利用しての投擲のスピードは凄まじいの一言に尽きた。
予想外の戦法も合わさって、ジョゼは驚くが……
「“X文字狩り”!!」
「く……なんと滅茶苦茶な……!」
ワタルがまばゆい光を纏った左右の鎌を交差させて、文字通りXの字を描くように斬撃を放つと、ジョゼは危ういところで後ろに飛び退き、冷や汗と共に悪態をつく。
「これも、ダメ、か……」
荒い息を吐きながら、意表をついても手傷を負わせられない事に悔しげな表情になるワタル。
ジョゼとの戦闘が始まった時と比べると、深手は負っていないものの、すり傷や火傷、打撲など細かい傷ができている。全身がボロボロで、服も所々赤く染まっている事からも、ダメージが全身に溜まっている事が分かるだろう。
だが、その全てがかすり傷であり、彼の戦意を折るには至っていない。
しかし、重大なのは魔力の消費具合だった。
魔力消費の大きい“魔女狩り”を発動してから、ますます疲労が濃くなっているのだ。
= = =
「(おかしい……明らかに変だ)」
“魔女狩り”の維持を解除して、膝に手をついて呼吸を乱しているワタルの傍に足を引きずりながら駆け寄ったエルザはある疑問を抱かざるを得なかった。
「(確かに“魔女狩り”の魔力消費は大きい。でも、幾ら元から消耗していたからといって、こんなに早く限界が来るほどじゃなかったはず……いったい何故?)」
額に浮かんでいる滝のような汗と荒い呼吸は、彼の消耗具合が嘘でも幻でもない事をエルザに教えている。
深手を負っている訳では無い、という事は、共にジョゼと戦って彼の様子を間近で見ていた事からも確かだ。
一番大きな怪我は、この場に来る前――おそらくミラジェーンとの戦いで出来たものだろうが……それだって、戦闘に支障が出るほど大きなものではない。
にもかかわらず……怪我の具合とは釣り合わないほどに、彼は消耗してしま
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