幽鬼の支配者編
EP.28 聖十大魔道の力
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振り返り、慌てた表情で走り寄るエルザに笑いかける。
「戦うぞ、エルザ。とりあえず、あの喜色悪いニヤケ面に……一泡吹かせてやる!」
「ッ、……ああ、分かったよ。それがお前の意志ならば……私も応えるだけだ!」
優しい笑みとは違う、大胆で不敵な笑みを浮かべるワタルに、エルザは内心の焦燥をねじ伏せた。
退けば、今も必死に抵抗を続けている仲間たちや帰るべき場所までもが失われてしまう――――彼の目がそう物語っていたからだ。
「どんな手品を使ったのか知らないが、勇ましく、気丈で美しい……そうでなくては私自ら手を下す甲斐が無いというものだ!!」
見るものを委縮させるほど凶悪で凶暴な笑みを浮かべ、再び膨大な魔力をまき散らすジョゼ。
「ったく、気持ち悪いんだよ……!」
まるで腐った卵の匂いのように醜悪な魔力を感じ、込み上げる吐き気を抑えながら、ワタルは急激に抜けていく力と薄れる意識を必死に繋ぎ止め、光を制御し集束する。
すると、鎌の部分に集まった魔力は、三日月を模した淡い白に輝く刃を形成した。
元の鎌の数倍の大きさの光を宿した巨大な刃、その名は――――
「“魔女狩り”……勝負は此処からだ。行くぞ、ジョゼ!!」
= = =
戦闘開始の当初は、エルザが奇襲、ワタルが陽動の役割で戦っていた。
今は戦術とポジションを入れ変え、足を負傷したエルザは“天輪の鎧”に換装している。
彼女の援護を背に、ワタルは鎌の部分に光り輝く刃を纏わせた鎖鎌で果敢に切り掛かった。
「はあっ!」
「フン、鈍いな……」
しかし、明らかに精彩を欠いていた刃はジョゼの左腕に纏われた魔力によって受け止められてしまう。
「さぁ、吹き飛べ!」
「うわっ!?」
ジョゼの右腕を払う動作と共にワタルが立っていた床が爆発。
なんとか間一髪で他方の鎌の“魔女狩り”で魔法を無効化する事に成功するも、衝撃までは消せずにワタルの身体はエルザの方に弾き飛ばされてしまう。
「纏めて消え――――チッ」
二人もろとも攻撃しようと、溜めた魔力を打ち出そうとしたジョゼだったが、舌打ちと共に中断、その場から飛び退いた。
「ええい、何度も鬱陶しい真似を……」
「やらせないぞ、ジョゼ!」
彼が今の今まで立っていた所には、魔法剣が何本も剣山のように刺さっていた。
忌々しげに吐き捨てたジョゼはその原因――エルザを睨んだ。
“天輪の鎧”を纏った彼女の的確なタイミングで降り注ぐ遠距離攻撃――といっても、魔法剣を浮遊させ、突撃させるだけの単純なものだが――は、時にジョゼの攻撃を妨害してワタルを守り、時に彼の攻撃に起点になっていた。
自分が相手でなかったら、もう打
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