第三話
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いるなのはには殆ど視認出来ない。ただ、パパパパン!という、拳と触手がぶつかり合う音だけが、夜の街に響く。
「レイジングハート・・・。どうすればいい?」
『砲撃モードで倒すのが一番かと。出来ます、貴方なら。』
そこまで凄い戦闘を行っていながら、黒い男の攻撃は思念体にとって驚異ではないという。ならば・・・
(あの人の戦いを無駄にしない為にも、私が倒さなきゃ!)
元々責任感の強い少女だ。一人にだけ任せている訳にもいかないと、気合を入れる。杖状だったレイジングハートが、主人の願いに答える為に自身の形状を変化させ始めた。
それは、杖というより、既に槍と言ったほうが正しいだろう。
『ディバインバスター、セットアップ』
(この子、砲撃型・・・!?)
あまりに強い魔力の波動。チャージされていく魔力の多さにユーノは驚きを隠せない。魔法という存在を、つい先ほど知ったとは思えないほどの順応能力。あまりに高すぎる魔法への適正。管理局員でも撃てる者が少ないと言われる砲撃魔法を、これほど簡単に発動出来る初心者など、そうそういるわけがない。
「あの人に当てないように、気を付けないと!」
『了解しましたマスター。』
なのはが準備するディバインバスターに気がついた思念体は、そのあまりの魔力量に驚き、一目散に逃げ出そうとした。
―――しかし
「そうはさせるかよ!」
そんなことを許すはずがない。ダメージがなかろうが、足止めならば十分に出来る黒い男が、飛び上がった思念体の更に上空へとジャンプする。
「喰らいやがれ!」
打ち下ろされる、隕石のような一撃。渾身のパンチを受けた思念体は、上空から一直線に地面へと叩きつけられた。地面が大きく破壊され、クレーターが出来る。それが、どれだけの威力を持っているのかの証明であった。
「今だ!」
「行くよ!ディバイーン・バスターーーーーーー!!!」
ゴッ・・・!
瞬時に思念体へと到達した、桜色の魔力の本流。それは、周囲の壁すらも余波で溶かし、あっというまに思念体を取り込んだ。思念体の声にならない悲鳴が響く。
「ジュエルシード、封印!!!」
『ジュエルシード封印』
破壊跡に残ったのは、小さな宝石だった。それが、この事件の元凶である、ジュエルシードである。レイジングハートはジュエルシードを、自らのストレージへと取り込む。
「・・・ふぅ・・・・・・。」
全てが終わり、緊張から解かれたなのはが、バリアジャケットを解除しながら嘆息した。そして、怪我の一つも負わずに帰ってきた黒い男へと頭を下げる。
「あの、ありがとうございました。」
「いやいい。こちらこそ、助けが遅くなって悪かった。」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ