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101番目の舶ィ語
第三話『今日は電話に出て下さいね』
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常現象は正直あまり得意ではない。
厄介な出来事でない事を祈りながら校門を出て、夕暮れに染まる坂を下りつつ考え事にふけっていた。
そのせいか、俺は周囲の異常に気づく事が出来なかった。

「あれ?」

気づけば、周りには人が一人もいなくなっていた。
昇降口にはまばらに下校の生徒がいたはずなのに。
いや、待て。
校門を出るまでは何人かの生徒は確かにいた。
はっきりと覚えている。
だから今、この瞬間に生徒が誰もいないという状況はおかしい。
それに……。
人だけではない。車の音もなければ、鳥のさえずりさえもない。
誰もいない。何もない、静寂に包また夕暮れの坂道。
昨日、謎の少女。ヤシロちゃんに会った時もこんな感じだったが、俺はそれ以上に不気味なものを感じていた。

_______ピピピピピッ。

「うわっ」

Dフォンが着信を告げると同時に、再び熱くなった。
ハンカチ越しに携帯を持つと、黒い携帯は再びぼんやりと赤く光っていた。

______ピピピピピッ。

コール音が鳴る度にライトの部分が赤く点滅している。
携帯を開き、通話ボタンを押した。

「……もしもし、と……一文字です」

おっと、もう遠山じゃなかった。
うっかりしてたね。

『もしもし私よ』

耳に聞こえていたのは、少女の声。
ゾッとするような迫力を秘めた、電子音に似た印象のある声だった。

「……どなたかな?」

尋ねた瞬間、なんとも耳障りなクスクス笑いが聞こえてきた。
それは心の底から楽しそうな、無邪気な幼女の笑い声に似ていた。

『クスクス……やっと電話に出てくれたのね』

「待たせてごめんよ。君はどちら様かな?」

相手は質問に答える事はなく、ただ楽しそうにクスクスと笑って……。

『今から…………しに行くわ』




ブツッ、と電話が一方的に切られてしまった。
……今、なんて言った?
普段、普通に生きていればそうそう言われることのない言葉を言われたせいで、一瞬脳が拒否したのかもしれない。
いや、本当な聞こえていたのに、俺がそう思いたくなかっただけだろうか。
武偵高時代、特に強襲科(アサルト)の奴らやアリアにはよく言われていたが……憑依してまで言われるとは思わなかった。
電話の主はこう言った……ような気がする。





















『殺しに行くわ』と。
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