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石榴の種
1部分:第一章
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っともゼウスの浮気のせいでその夫婦仲は決していいものとは言えない。
「違うか?」
「まあそれは置いておいてくれ」
 ヘラの話を出されるとどうしても弱いゼウスだった。彼にしてもやましいところがありそれはどうしても反論できるものではなかったのである。
「それでだが」
「私の妻だが」
「一応相手はいる」
 それはだというのだ。
「安心してくれ」
「そうなのか」
「ほら、デメテルがいるな」
 ゼウスが今度出してきた名前はそれだった。
「わかるな」
「我等の姉妹ではないか。そしてそなたとは」
「わかるな。娘がいるな」
「ペルセポネーか」
 ここで名前がわかった。ハーデスも知っている名前でありそうした相手だった。他ならぬゼウスとデメテルの間に生まれた娘である。

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