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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第三章『更識簪』
第三十八話『本日は休息日和・駅前編』
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が触れた話に舵を切る。
その言葉で、場の雰囲気が少し変わった。
「えぇ、お強い方ですわ」
「あぁ、間違いなく」
「ま、中国代表候補の私と張り合おうってんだから、そこそこじゃない?」
皆一様に、修夜の強さを肯定した。
「り、鈴さんも、代表候補生だったんですか……!?」
「あれ、言ってなかった?」
「修夜さんからは、こっちに帰ってきてIS学園に来た、ってくらいで……」
鈴の現状に驚きつつも、皮肉を交えつつ修夜を認めている姿から、蘭は修夜の実力の高さをぼんやりとだが、すごいと感じた。
「そういえば、蘭さんもIS学園への入学をお考えなのですよね?」
「あ……、は、はいっ!」
ここでようやく、蘭の求めていた本題への糸口がやってきた。
言わねば……。
意を決し、蘭は答えを求めて口を開いた。
「あのっ!」
緊張で声が上ずって大きくなってしまったが、一拍置いて気を静める。
「じ、実はその……。皆さんは、どうしてIS学園に入学されたのかなって、思いまして……」
三人の視線が、蘭に集中していく。
「あの、私……。IS学園に、その……、そう、あ……“憧れの人”っていうんですか、そういう人がいて……。その人の近くで……、自分も一緒に……ISが操縦出来たらなぁ……って、思って……」
自分でも代表候補生二人を前に、ずいぶん舐めたことを言っている気がして、蘭の姿は徐々に小さくなっていく。
その様子を、誰も何も言わずに見守っている。
「やっ、やっぱり……、不純……ですよね……?」
沈黙に耐えきれず、俯いて泣きそうになってくる。
多分、叱られる。
そう思ったときだった――

「よろしいんじゃないですか?」

返ってきたのは、なんともあっさりとした明るい答えだった。
その声に弾かれて面を上げると、そこには蘭の予想に反し、あっけらかんとした三人の顔があった。
「事情は人それぞれですし、最初は多少不純であっても、しっかりと目標を持てれば、きっと本物になりますわ」
「大体、うちの入学希望者の三割ぐらいは、千冬さんの追っかけのミーハーよ? 今さら、そのぐらいのこと全然珍しくもないわ」
「私のクラスにも、九州から千冬さん会いたさに入学を勝ち取った子がいたな」
叱責されるどころか、自分の予想を斜め上にいく回答が飛んできた。
「お、追っかけ……?」
蘭は千冬との面識は片手指で足りるほどしかないが、確かに女の自分でもキュンときそうな凛々しさがあったのは覚えている。
そこに加え、元世界王者(ブリュンヒルデ)という貫禄。一戦を退いてから数年が経つとはいえ、自分の学校でも今なお彼女に熱を上げる学友は絶えない。
でも“それだけの理由”で、本当にIS学園やっていけるのか。
「あの、その千冬さんのファンって人は、今……?」
「頑張っているよ
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