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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第三章『更識簪』
第三十八話『本日は休息日和・駅前編』
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。千冬さんに認められようとして、必死に努力している」
「まだISの操縦を覚えてふた月も経ちませんから、上手にとはいきませんが……。それでも目一杯、自分の出来る努力をしていらっしゃいますね」

みんな目標を持って頑張っている――
そう修夜から聞いたとき、蘭はそれがもっとISに対して、高潔で真摯もののように思った。
だが現実は、その斜め上を行っていた。
「動機はどうあれ、必要なことは真剣に取り組むことですわ。それさえあれば、きっと不純な思いも純粋になっていく。わたくしはそのよう思います」
セシリアや鈴は、実際こうしたタイプに当てはまる。
セシリアは“自分の母が遺した高潔さを守り通すため”に。
鈴は“失った幸福な時間をもう一度手にするため”に。
目的は純粋なISへの情熱からは遠いが、その道に傾けた情熱だけは“本物”だ。
彼女たちを強くしたのは、ISとは無縁な心が生み出す“決死の想い”に他ならない。
「要するに、やるからには必死になれってことよ。憧れだろうと、自惚れだろうと、やると決めたらとことんやる。それさえ出来れば、誰も文句なんて言わないわよ」
セシリアと鈴の言葉に、蘭は何か大きなヒントを得た気がした。
「真剣に、とことん……」
自然と、そんな言葉を独語する。
「そうだな、実際私も、ISそのものをあまり好きにはなれなかった。でも、一夏や修夜の真っ直ぐな姿を見ていて、初めてISに正面から向き合おうと思えたんだ」
箒にとって、それは何気ない感慨だった。
「IS……好きじゃなかったんですか?」
「あ、あぁ……」
「じゃあ、どうして箒さんはIS学園に……」
その一言を聞いた瞬間、箒の表情が凍りついた。
「……そういえば、あたしもアンタからそういう話、聞いたことなかったわよね」
「たしかに……。よくよく考えてみますと、聞いてみたことは……」
話の中心点は、蘭から箒へと移った。
だが肝心の箒は、表情を硬くして皆と視線を合わそうとせず、無言のままだ。
「あの、箒さん?」
「ちょっと、何で黙ったままなのよ」
今日会ったばかり蘭でも、学友二人に問いただされる箒の様子は、どこかおかしいものに見えた。
四人の間に、奇妙な緊張感が漂いはじめる。
「あ、あの……、変な質問をしたのだったら、すみませんでした。何か言いにくい事情でも、御有りのようですし……」
普通じゃない箒の様子を見て、蘭は自分の質問を慌てて引っ込める。
それでも四人のあいだにある暗雲は、なかなか晴れようとしない。
「あ、あの、何か注文しません? ほら、丁度おやつの時間も近いですし!」
雰囲気を変えようと、蘭はとにかく話題を振る。
セシリアもそれに乗るように、メニュー表を手に取って品定めをはじめ、和やかな風を装って場を収めにかかる。
ただ鈴は、その雰囲気
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