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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第三章『更識簪』
第三十七話『本日は休息日和・食堂編』
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「……悪い、つい手が滑っちまった。まったく、歳は取りたくないもんだな」
睨み合いの末、俺のガチの怒りを感じ取ってくれたのか、厳さんも素直に謝った。
傍から見れば、憮然とした顔で憎まれ口を叩いているだけだが、これでもこの人にしてみれば随分と素直な方だ。
こだわりを持って料理をする俺にとって、調理器具は大事な仕事仲間も同然だ。暴力の道具にしていい道理なんてない。
そうでなくとも、ここは料理を人に提供する場だ。こんな事が日常茶飯事の五反田食堂とは言えど、本来ならばやってはいけない事だ。
たしかにマナーは重要だろう。けれども“人を叩いた道具で料理を作っている”と知って、不快感を表さない人はどれだけいるだろうか。
当然だが警察沙汰になりかけたことも、二度や三度の話ではない。そういうときには大抵、蓮さんがのらりくらりと宥めすかしたり、食事代をタダにして機嫌をとったりするなどをして、どうにか乗り切ってきたらしい。
厳さんの制裁は一撃必中である一方、調理器具を凶器に変えてしまう危険な方法だ。
だからこそ、俺は厳さんとそのことを巡って、何度も口論を重ねてきた。
その末の“俺の前での制裁厳禁”の約束は、俺と厳さんにとって条約や協定にも近い、重大なルールと化している。
もっともその過程で、何度か取っ組み合いに発展したのは、ここにいる人間には公然の秘密なわけなのだが……。
「お、落ち着けって、修夜! 厳さんだって、何もわざとやったわけじゃないんだし……!
 それに、他のお客さんだっているんだからさ!?」
そんな俺に対して、一夏は慌てながら宥めにはいる。
言われて俺も、他の来店客が怪訝な顔をするのを見て、自分の軽率さに気付かされた。
「そうだな……。すみません、厳さん」
軽く頭を下げた後、おたまを厳さんへと渡し、席に座り直す。
「そ、それで、なんでいきなりIS学園にを受験するんだ?
 蘭の学校って、エスカレーター式で大学まで出れる、都内でもかなり有名な私立校の筈だろ?」
ぎくしゃくした雰囲気を見かねてか、一夏は雰囲気を和らげようと、話題を蘭のことに戻した。
一夏の言う通り、蘭は【聖マリアンヌ女学院】に通う中等部の三年……IS学園を受験せずとも、そのまま高等部に進学できる。
また、そのネームバリューは一般的に見てもかなり有名であり、そこの優等生ともなれば、就職に関しては弾の通う【藍越学園】以上に引く手数多なのは間違いない。
そして、弾自身も何だかんだ言いつつ、蘭がこの私立校に通っている事は誇りとしているのは、俺も一夏も聞いている。故に、蘭のこの決断は疑問だらけなのだ。
「大丈夫です。私の成績なら余裕です」
「IS学園には推薦ないぞ……」
胸を張って言う蘭に対し、同じように席に座り直した弾が、呆れた表情でそう言う。
弾の言う通り、IS
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