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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第三章『更識簪』
第三十七話『本日は休息日和・食堂編』
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さんも!?」
「ああ、まぁ……。諸事情で、俺と一夏の部屋が間に合わなくて仕方なくだけど……」
俺がそう答えると蘭は、何故か弾をギロリと睨みつける。その視線を受けたせいか、弾もまた身を固めてしまった。
「…お兄、後で話し合いましょうか……」
「お、俺、この後一夏達と出かける予定があるから……。ハ、ハハ……」
蘭の言葉に、乾いた笑いを出しながらしどろもどろになる弾。てか、そんな予定初めて聞いたぞ……。
「落ち着けって、蘭。幾ら弾でも、人のプライバシーを早々簡単に話すわけ無いだろ? 内容が内容なんだからさ」
「うっ……」
どちらにしても、ちょっと釘を刺しておかないと弾がやばそうなので、再度助け舟を出しておく俺。
と言うか、なんで同居しているってだけでここまで取り乱すんだろうな……。
とりあえず、俺の注意が効いたのか、椅子を直して座る蘭。しかし、その表情は何故か、真剣に何かを考えているように見えた。
「……。決めました」
……決めたって、何をだ?
「私、来年IS学園を受験します」
「お、お前、何を言って――!」
突然の蘭の宣言に、驚くあまり弾が立ち上がった。
それとほぼ同時に、厨房から瞬間的に剣呑な気配が発せられる。
「弾、伏せろっ!!」


――ビュッ、パシッ!!


風切り音と共に、弾に向かって飛んでくるおたまを素早く掴み、俺は厳さんを睨む。
「厳さん……、久しぶりとは言え、俺の目の前で調理器具(こいつ)を投げるなんて、良い度胸してますね……!?」
湧き上がる怒りを抑えつつ、投げてきた張本人を真っ直ぐに見据える。
厳さんも俺との視線を外そうとしない、真っ向から睨み返してくる。
この五反田食堂では、食事マナーを徹底させているせいか、マナーに反すると調理器具が飛んでくる。俺や一夏もここに始めてきた時は、その光景を見て唖然としたものだ。
そもそも厳さんがこういった過激な態度に出るのは、この人が朴訥としているのもあるが、客の態度への牽制が一番だろう。
結論から言えば、マナーを守らない客はどうしても出る以上、言葉だけの注意では効果が薄い。
特に我がもの顔でのさばる“お客様”という連中は、口だけは無駄に達者で、オマケに面の皮も分厚いときている。そんな無礼千万な連中を黙らせる意味でも、厳さんの“制裁”は抜群の効果を発揮するのだ。
ただし、厳さんは孫娘である蘭に物凄く甘いため、こう言う制裁を受ける事は無い。正直な所、不平等なことこの上ない。
だが、そんな事は割りとどうでも良い。問題なのは、『調理器具で制裁』することだ。
「俺との約束を、忘れたわけじゃないですよね……?
 『俺がここにいる間は、例えどんな状況であれ、調理器具で制裁はしない』って……!」
怒りは堪えてはいるが、そのせいで眉間に力が入っていく。

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