暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルな世界に『パッチ』を突っ込んでみた
第一話
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完了させる力。

 その力の名は、『パッチ』、または『マーズサイト』と呼ばれる宝石がもたらす力である。

(確かに似てるけどさ・・・『ジュエルシード』が『パッチ』と同じ機能を有するとか・・・マジかよ)

 彼の左手の甲に融合した『ジュエルシード』は、『パッチ』と同じく超常の力を彼に齎した。超人的な身体能力と、常識では計り知れない特殊な能力を。

(あの自称神・・・!願いを叶えるってこういうことかよ・・・!)

 転生する際、彼は自称神様にであっていた。願い事を聞かれた際、彼が頼んだのは一つ。

『もう、死にたくない』

 通り魔に全身刺され、更にはガソリンを掛けられて生きたまま焼かれて死ぬという、最悪な死に方をした彼は、『死』を恐れた。死は誰もが恐れるものだが、一度それを経験している彼は、人一倍強くそれを恐れたのだ。

 そして、彼はこの世界に飛ばされた。恐らく、あの神がしたのは、

1 葵がジュエルシードを手に入れるようにすること

2 ジュエルシードが正しく願いを叶えるようにすること

 だと推測された。実はこのジュエルシードという宝石、所有者の願いを歪んだ形で叶えるという、型月世界の聖杯かよというような性質を持っていた。恐らく、この一個だけは、その性質が直されているのだろう。

(・・・死にたくないって言ってる人間に、『死に至るような怪我をさせる』とか、正気なのかあの野郎・・・!)

 昨日、彼は命に関わる大怪我を負った。偶然その直前にジュエルシードを拾っていなければ、彼はそのまま、二度目の死を体験していただろう。
 ジュエルシードは、彼の『死にたくない』という願いを、正しく叶えた。叶えはしたが・・・・・・

 だが、彼の葛藤は長くは続かなかった。悩んでいる間に、『運命の瞬間』が訪れてしまったのだ。

『誰か、誰か助けて・・・!』

「「!?」」

 なのはと、葵にのみ聞こえてしまったその声。本来であれば平凡な小学生であった高町なのはを、戦いの舞台へと招く、彼女の運命を決定付けたその声。

「今、声が・・・?」

「ま、待てなのは・・・!」

 葵が咄嗟に出した手は、彼女に届かなかった。なのはは、アリサとすずかも置いて森へと走る。

「・・・今、この手がなのはを掴んでいたら・・・俺たちは皆死んでいたかも知れない・・・・・・!」

 アリサとすずかもなのはを追いかけ、残ったのは立ち尽くす葵だけとなった。彼は、自分の手を見つめながら震えていた。

「今俺は、皆を間接的に殺す所だったのか・・・?」

 なのはの運命を変えれば、プレシア・テスタロッサによるジュエルシードの起動で、全てが終わる。あの狂った女性が、地球がある空間から離れて起動してくれるはずもない。望む
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