第一話
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普通だったはずなの・・・)
前置きが長くなったが、彼は昨日の日曜日、いつものようにシュークリームを食べに来ていた。いつものように食べ、いつものようにゆっくりと紅茶を飲み、そしていつものように帰ったハズである。
それが、今日会ってみたら、完全に雰囲気が違う。彼女達が戸惑うのも当然であった。
☆☆☆
(あああああああああああああああああ!ダメだ、危険すぎる!)
そんななのは達を気にもせず、伏見葵は考え続けていた。
彼が考えるのは、『この世界でどうやって生き残るか』である。
(いっそ、一切関わらないで原作に身を任せるか・・・?いや、だが、一歩でもなのは達が間違えばそれで地球終了だぞ・・・?)
彼は所謂、転生者と呼ばれる存在であった。今までは忘れていたのだが、昨日とある事故に巻き込まれて、その衝撃で思い出したのだ。
この世界が、『魔法少女リリカルなのは』の世界だということを。
世の中の『魔法少女』という概念を吹き飛ばした異色の存在。爆発と砲撃が飛び交う、ガチバトルを繰り広げる魔法少女である。主人公は、今隣にいる高町なのは。ファンからは畏怖を込めて、『管理局の白い魔王』とまで言われる存在であった。
彼はアニメ組なので、漫画やゲームとかではどうなってるか知らないが、少なくとも3期放送した中での1期と2期は、どちらも地球崩壊の危機だったはずだ。そう、短い期間に、少なくとも二度の滅亡の危機が訪れているのである。
葵は今、この地球に生きているのだ。なのは達が少しのミスをしただけで地球が消滅する。そんな危機的状況を、『原作で大丈夫だったから』と流していいのだろうか?
(・・・少なくとも、今の俺には力がある。リンカーコアは分からないが・・・力があるんだ)
彼だって、記憶のない状態で小学三年生まで生きてきたのだ。この世界がアニメの世界だろうと、愛着がある。父さんと母さんを守りたいし、なのはやアリサ、すずかにだって友情以上のものを感じているのだ。
そもそも、女性にばかり戦わせて、男である自分が知らぬふりというのはどうなのかとも思う。
出来るなら、なのはと一緒に戦って、彼女の負担を和らげたい・・・が―――
(・・・出来るのか、俺に)
見れば、手が震えていた。
『死ぬかも知れない』という恐怖が、彼を縛っているのだ。
(・・・もう一度、死ぬかも知れない・・・・・・!)
彼は、手袋に包まれた左手を無意識に擦る。そこには、昨日までなかった、ツルツルとした感触がある。それは恐らく、彼が知る限り最強クラスの力。それは、一般人を超人へと進化させる、まさに魔法のような力。本来は数万、数億年をかけて行われるはずの『進化』という現象を、刹那の間に
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