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第一章
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威力もある。そんな彼だった。
 顔がよくてしかも強い。女の子の注目を浴びる要素に満ちていた。周りには常に彼氏のいない女の子達が群がっていた。だが彼は彼女達には目もくれなかった。
 むしろ男達と一緒にいることを好んだ。最初は彼のあまりものもて具合に嫌悪を示していた彼等だが実際に話してみるとだ。悪い奴ではなかった。
「へえ、そうなのか」
「それでここに来たのか」
「ああ、親父の転勤でな」
 学校の屋上で話す。牛乳を飲みながらだ。それぞれベンチに座ったりその辺りに座ったりフェンスにもたれたりしてだ。そのうえで話していた。
 秀典はフェンスにもたれかかっている。そうして彼等と話していた。
「それでここにだ」
「元々はここじゃなかったのか」
「地元じゃないんだな」
「そうだ。しかしここはいい場所だな」
 笑っての言葉だった。笑顔も爽やかで実にいい。
「阪神ファンが多くてな」
「おっ、阪神ファンか」
「そうだったのか」
「ああ、生まれは東京だけれどな」
 それでもだというのだ。

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