第二章 彼と彼女の事情
第十二話 彼女の事情
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軍団の手により恐らく退学か少年院にぶち込まれることになるだろう。
「正直に、ってそれは無理な相談ですよね……。」
遠くの方に顔を向けている参謀は、そんなことをボヤいた。
いったい何が書かれてあったのかと思い情報提供者の方を見ると首を振られた。
土屋の方に向き直り、頭を深々と下げる参謀の姿はあまりにも優雅であった。
「土屋君、ありがとうございます。今は何もお礼など出来ませんが、今度何か焼き菓子でも差し上げますね。」
「………(プルプル)」
「ムッツリーニ、お前は何だって震えて……あぁそうだったな。」
そう、彼こそがあの化学兵器料理の第一被害者であった。
俺もあれを口に入れたおかげで、六文稼ぐまでは返さないと鬼に追いかけ回されていたのを、参謀に助けられたのはイヤな記憶の一つだ。
(第六話参照)
それ以来、姫路さんが何らかの形で料理ネタを言い出したとき真っ先に姿を消すようになったというほどのトラウマ加減だ。
「きちんと土屋君の前で、私が食べて見せますからそこは安心してください。」
「…………期待している。」
その言葉に安心を見せるムッツリーニを哀れとみるか、それとも生物学上での進化において順当な反応感覚を習得したとみるべきか。
「代表の方のメモはかなり役に立ちますね。とは言え私たちが若干有利程度にしか戦況を動かしていないのはしんどそうですね。」
俺のメモを参謀に見せると最初にそう切り出してきた。
「私は昼休みの停戦を受け入れるべきだと思います。」
「そうか、俺もそう考えているが参謀の考えをまず聞かして貰おうか」
どうせ同じ様なことを考えているのだから答え合わせをするような感覚で聞くと想像通りというべきかやはりと言うべきか。
「まずは敵戦力を渡り廊下と階段の二カ所に一気に誘引することが出来、今はあわよくばですが浅井さんを寝返らせる絶好の機会となります。これらが一番の理由です。二番目に姫路さんに疲労がたまりすぎていると思われるからです。」
「姫路か、そういや朝から張り切っていたからな……。ん、じゃやはり受け入れた方がいいか。ところでそろそろ軍使が来るころか?」
時計をみると十二時を指そうとするところであった。
「代表!司令!Bクラスから軍使が来ました、通しましょうか?」
「通せ。」
「はっ!」
やってきた生徒は小野と名乗り、昼休みとして12:00から13:00まで停戦しないかという旨を言ってきた。
あくまでも昼休みであり、回復試験も行わない。というのが向こうの言い分だ。
既にムッツリーニから聞いていた内容ではあるが、ここは初めて聞いたという体で軍使の前で参謀と寸劇を演じるのことにしていたのだが。
「私は反対します。相手の方の戦力をようやく削れてきたというのに、回復
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