第二章 彼と彼女の事情
第十二話 彼女の事情
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静化したら、代表と相談して軍の再編成を行います。いよいよ反転攻勢にでますよ。」
「ついにですね!なら、出きるたらでいいですから……その、あの。」
小さな声でつっかえながらささやき掛けてくる姫路さんの手は完全に空に“の”の字を書いているのではないだろうか。
「済みません、まだ確約できないのです。」
「そうなんですか……ってまだ私、まだ何も言ってませんよ!」
言って無くともさっきの救出劇を聞いておいて自分は全くのノーリアクションなんか耐えられないってところなんでしょう、だなんて本人には言えませんからね。
馬に蹴られるのはゴメンですし、ラブコメは自分に関わりないところで発展してくれることは大いに結構と思う僕としては、面白半分で近くに配置してもいいかなとは思っているのだが……
「適材適所って申しますし、中国のとある朱子学者も「君子の其の職に居る者も、また其の職を尽くすのみ。」と言っております。私は腕輪がなければ攻撃よりも防御型ですが、瑞希さんの大剣は俊敏さに目をつむれば、攻防ともに良くできるので、どこにでも配置したくなるのです。作戦では所持者の得点だけでなく、その装備や特性もまた戦略の一環として考慮しているので、瑞希さんを何処に配置し、誰と組むのかなどというのは一番難しいのですよ。」
嫌みったらしい言い方になってしまった気がする。
「えっと……はい、分かりました…」
とは言え、心底残念そうな姫路さんに一抹の希望を見せてあげてもいいだろうか。
「でも瑞希さんのご要望に添えるように、なるべく努力はしてみますね。」
その言葉にぱっと顔を輝かせる姫路さん。
なんだろう、もし彼女の要望が通せなかった時のことなんて考えたくないな、これは。
今にも飛び跳ねそうな勢いで舞い上がっている姫路さんに、あくまでも努力するだけで、確約は出来なということを理解しているのかどうか少々怪しい、もし近くの部隊に配置できなかったらなんて結果になったとき、とんでもない結果になって跳ね返って来そうだ。
「努力しますよ、えぇ、しなきゃならないんです。」
とてつもない精神的な疲労を感じながら僕は既に新しい布陣案を頭の中で描き始めていたのだった。
____11:30 某所______
「Cクラスの参戦に礼を言うよ。」
Bクラス専用の自習室に男女の一対の影がさす。
防音に優れ、おまけに隠れる場所などない。
この男がよく使う密談に最適な場所の一つだ。
「皮肉かな、私は恭二のBなら独力でもいけそうだと思っていたのよ。第一Fクラスで強いと言っても姫路さんだけなんでしょ?何でそんなに手こずってんのよ。」
氷点下の声で悪態をつく女の前に何枚かの写真を並べながら、男はそんなものに構わずにいる。
「妃宮に早くから注目していたのは友香だろ。本当は大分前から
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