第05話 帝国改革
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帝国暦458年 4月 1日 オーディン 新無憂宮 黒真珠の間
先月に御触れが出て、この日に領地を所領する貴族の当主が集まるように連絡が徹底されていた。
皇帝の玉座に近い位置には、帝国における高官達が佇んでいた。大貴族や高級の文官または武官達である。彼らも皇帝陛下の此度の要件を聞かされていない。
玉座の向かいには帝国を代表する貴族達が集まっていた。皆何事が起こるか、憶測して話し合っている。
古風なラッパの音が黒真珠の間に響き渡り、一同は姿勢を正し直す。
「全人類の支配者にして全宇宙の統治者、天界を統べる秩序と法則の保護者、神聖にして不可侵なる銀河帝国フリードリヒ四世陛下の御入来!」
至尊者の入来を告げる式部管の声と共に、帝国国歌が演奏され、一同が頭を垂れる。
Side フリードリヒ四世
「国務尚書に命ずる。劣悪遺伝子排除法を廃法にする。5年以内に法を整備せよ。」
「まっ、待って下さい。劣悪遺伝子排除法はルドルフ大帝が定めた法に御座います。」
国務尚書は反対する。
「マクシミリアン・ヨーゼフ2世の治世において劣悪遺伝子排除法は事実上、有名無実化されている。それに昨年、老化防止薬が販売されておる。また、かの者に予の配下の者が問合せたら、先天性の遺伝子治療も可能であるとの事だ。予とて不死身ではない。新しい技術が生まれたら法を変える事も時には必要だ。これは直答ではない。勅命である。」
「はっはぁ。賜りました。」
国務尚書は頭を垂れた。
「予が皇帝になったおりから、直轄地のローエングラム星系の改革をやらせておる。ローエングラム星系の税収は、如何ほどになったかのう。」
皇帝の武官の一人が、国務尚書に紙を手渡す。
「よっ、4倍で御座いますか?」
国務尚書の驚いた声に、居並ぶ貴族も驚いた。
「そうだ、それも税率を3割りに下げてだ。」
これには流石の貴族達も驚く。酷い領地になると7割りを越えている。
「予は兄達と違って、出来損ないだが、ブレーン達には恵まれておる。」
「いえ、臣下の功績は主君の功績です。」
「国務尚書に命ずる。ローエングラムを模範として、10年で国力を10倍にしろ。他の諸侯も見習う様に。嘗て、ルドルフ大帝は、優秀な者を貴族に迎え入れた。今の諸侯はどうだ・・・。
優秀な者には叙爵を行う。不正な行ないには、厳罰を行う。」
居並ぶ貴族達は、皇帝の威厳に抑えられて、言葉一つも出てこない、有り様であった。皇帝の背後にルドルフ大帝の姿が重なって見える。
Sideout
帝国暦458年 4月 1日 オーディン 新無憂宮 黒真珠の間控え室
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