第3話 廃庭園ノ少女
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だよ」
クグチは目を瞠った。
「都市庁のワーキンググループの花井さんっていう人が十三班の担当。ていうかこの部署、正式には道東には十二班までしかないことになってるから」
「あの、万乗さん、あの……」
島が控えめに口を挟んだ。
「明日宮君、そこら辺のことあんまし聞いてないみたいで……」
「……そうなの?」
「はい」
わかった、と言って、マキメはハムにフォークを突き立てた。
「まあいいよ。花井さんも普段こっちに顔見せないからね、何かあったら私か岸本さんから言うから。じゃ、仕事が始まったらおいおい話そうか。もうすぐ時間だよ」
クグチは他の班員に倣って食事を始めた。食事の味はほとんどわからなかった。
結局、花井とかいう上司への挨拶もなかった。
今日は訓練がない日だそうで、簡単な引継ぎが終わってからは、各々将棋盤を囲んだり、室内用モニターでスカイパネルの放送を見る。マキメが、クグチの分の外出許可証を持ってくると言って部屋を出、五分とせず戻ってきた。
「軽く町を流そうか。どこに何があるか知っておいてほしいからね」
眼鏡ケースだけを持って、クグチは裏口からACJ支社の建物を出た。建物は三棟に分かれており、特殊警備室があるのは西棟だ。マキメが運転する車に乗って通りに出た。クグチは眼鏡をかけていない。
歩道の人々は一人で話し続けている。
路上に、ハンバーガーの包み紙や、ちぎれた雑誌が点々と落ちている。
自動清掃システムの指令で動く金属の蜘蛛が、それらのごみを拾い上げ、背中の籠に入れ、車の気配を感じて早々に退避する。
「味気ない町でしょ」
マキメが苦笑する
「っていうか、寒々しい」
「南紀もこんな感じでしたよ」
「眼鏡かレンズがなきゃどこも同じっていうよね。ところで眼鏡かけないの」
「疲れますから」
そう言うマキメも裸眼のままだ。
「そこがスーパーマーケット。日用品とか食べ物とか、あそこで買うといいよ。西棟の中に社割のきく売店があるけど、あんまりおいしくないから」
「俺も社割使えますか」
「こっちでの社員証が届いたら使えるよ」
「あの、さっきの話ですけど……十三班は道東支社の正式な班じゃないっていう」
「気にすることはないよ」
「班の他の人、どういう人たちなんですか。島さんもそうだけど、もともと特殊警備員じゃなかった人が多いみたいですが」
「幽霊狩りの仕事にあう適性を実験調査してるって話は知ってるよね」
そういえば強羅木がそんなようなことを言っていた。
「私らが、つまり守護天使のない人間が集められたのはその実験の一環。もともとACJの中で唯一、特殊警備の部署だけは守護天使育成サービスに加入してなくても入れるからね。私も君と同じだよ。守護天使のない特殊警備員」
「他の人たちはどうしてこ
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