第197話 緑の妖精と緋色の妖精
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ら手を伸ばし、イレーネが両手で顔を覆った。
アンファミーが振り下ろした槍の先端がエルザに直撃する!と誰もがそう思ったその時だった。
エ「ふん!」
アンファ「なっ・・!?」
首元に刺さる直前で、エルザは身を屈め腰を低くし槍を上手くかわした。槍はエルザの左足のすぐ傍に突き刺さった。
アンファミーが槍をかわした自分に気を取られている一瞬の隙に、エルザは自分の後ろ側に両手を着き、右足を高々と上げ槍の柄を思いっきり蹴り飛ばした。
アンファミーの手から外れた槍はくるくると弧を描き、半壊した時計台の三角屋根に突き刺さった。通常の人間の5倍ほどもある巨体の悪魔が手を伸ばしても届かない距離だった。
エ「悪魔の前で人間は・・・何だ?」
槍を蹴り飛ばした姿勢で、今度はエルザが問うた。その問いにアンファミーは答えず、ただ見開いた目でエルザを見つめているだけだった。
リー「す・・すっげー・・・」
ヒビ「さすが一夜さんの彼女さんだ。」
ルチ「こんな時に、場違いなボケをかますの止めようよ・・・」
リートがため息と共に感嘆な声を漏らし、ヒビキの場違いなボケにルチーアがツッコミを入れた。
アンファ「くくくっ・・!フハハハハハハハっ!」
エ「!?」
エルザが立ち上がったのと同時に、アンファミーが豪快に笑い出した。
アンファ「ヒヒヒ、どうやらアタイ・・ハハッ、人間を・・・プッ!甘く、見すぎてたのかも・・くくくっ・・・しれない、ねっ。アハハハハッ!」
必死に笑いを堪えようとしているが、口から笑い声が洩れてしまっているアンファミーが目に青白い涙を溜めながら言った。
ようやく笑いが収まったアンファミーが「ふぅ〜」と一息つくとエルザは妖刀・紅桜を構えその場で戦闘態勢を取った。
アンファ「世界はまだまだ広いんだね、悪魔をこんなにも楽しませてくれる生物がいるんだからさっ。エルザ・スカーレット・・・だっけ?アンタ、マジで強いんだねぇ。アタイも少し本気出しちゃおうかねぇ?」
アンファミーは右肩に左手を添え、右腕と共に右肩をぐるぐると回す。気合十分、という事だろう。
エ「貴様は確か、“極悪の悪魔”アンファミーと言ったな?私の嫌いなものは“悪”なんだ。嫌いなものを自分で薙ぎ払う事が出来るとは、光栄だな。」
アンファ「悪魔と人間、どっちが強いかこの戦いで明らかになるねぇ。」
エ「最初から飛ばして行くぞっ!」
アンファミーとエルザの目からバチバチと火花が散る。
ハル「エ・・エルザさん、本気・・なんですか・・・?」
ヒビ「心配は要らないよ。相手が悪魔だろうが何だろうが、妖精の尻尾最強の女魔道士の前では歯が立たないよ。」
心底不安そうに呟くハルトに、前書きの
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