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乱世の確率事象改変
想い育てよ秋の蘭
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上げた異質な舞台。
 秋蘭が広く場を取ったから、彼女は兵士に指示を出して“死体を集めさせた”。
 バリケード、障害物、言い方はいろいろあるが、そういったモノを組み上げる物資が何も無い戦場で、時間が経つ度に湧いて出る死体という道具を用いてそれを作り上げさせたのだ。
 なるほど、と秋蘭は納得した。

――やはりあいつは武人では無い。何が一騎打ち。くくっ……確かにお前と私しか戦っていないが、いや、褒めようか。さすがは血に飢えた紅揚羽か。

 先程までは舞っていた。
 秋蘭が矢を放ち、明が鎌を振り抜き鎖を扱い、傷一つつかないように避けあい、互いの武の限界を引き出しながら……まさしく一騎打ちをしていたのだ。
 しかしその舞は終わった。燃え上がる炎が視界に映った後、明が一つ指示を出した事によって、張コウ隊が舞台に上がった。
 行き交う張コウ隊に意識を向ければ、明の大鎌や鎖分銅が飛んで来る。
 矢には貫通力が無い。死体を盾にする程度で防ぐ事が出来る。張コウ隊はそれをやって夏侯淵隊からの矢を防ぎつつ死体を積み上げた。
 秋蘭の持つ精度の高い遠距離での一騎打ち。そのアドバンテージを封じられたわけだ。同時に、明は生い立ちから、こういった場所での動き方の方が得意であるのだ。

「あはっ! あはははっ! 隠れてたらつまんないじゃんかー! はやく殺し合おうよー!」

 甲高い声が響いた。
 彼女は一人、小山の上。一騎打ちなのか分からない戦場で、夏侯淵隊は矢を射ない。射る事が出来ないのだ。曹操軍であるが故に。秋蘭が華琳の腹心であるが故に。
 秋蘭達が持つ武人の誇りを逆手に取り、それをゴミのように投げ捨てた戦い方。卑怯か否か、では無い。才と兵の命を以って為した時点で、卑怯などとは口が裂けても言えない。まず、張コウ隊は明の言を守って、秋蘭に向かってもいないからこそ余計に。
 では、秋蘭が夏侯淵隊に血みどろの戦を指示すればいいのかと言えば、そうでもない。
 袁紹軍は徐々に数を減らしている。季衣という不可測が機能して、この戦場はまだ掌握出来ている。
 だが……数が多い。後から後から湧いてくる敵兵に、季衣の体力も考えれば、長くなればなるほどに最悪の事態が頭を過ぎる。

――やはり一番の方策は……あいつを磔にする以外無いらしい。

 命を捨てる覚悟はある。
 華琳が居ない場所でそれを持ってはならないと分かっているが、秋蘭は目の前の女を仕留めたい。ギリギリの線のやり取りになろうとも、華琳の前に捧げたい。
 あの時、春蘭を間近で見たから。
 洛陽で、彼女の敬愛する姉は身体の一部を失っても任務を全うした。
 心底、姉が羨ましかった。片割れの誇り高い姿が、己が目玉を喰らう姿が頭に焼き付いて離れない。
 悲哀で崩れ落ちそうになりながら、秋蘭は羨望の
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