想い育てよ秋の蘭
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では無く小型が三つ程。
兵器の特性上、秋斗が覚えている限りの数学や物理学を二人共習い始めているのだが、この時代では辿り着けない知識を手に入れた天才軍師と天才発明家の組み合わせ程恐ろしいモノは無い。
「勿体ない……ま、しゃあないか。射程は問題あらへんけど、方向が難しいんとちゃう?」
「それも問題ないかと。敵は兵数がこちらに対して多すぎます。それ程の人員と物資を運ぶには、船の量は自然と増える。ばらけさせれば狙われやすいので、纏めるのが得策。だから、船団として停泊している船を一つだけでも燃やせばいいです。水際は風が変わり易く火は伝搬します。燃えてる船は使えず、追撃は激しいモノにはならない。私達たった百の行動で、延津の戦況は動かざるを得なくなるでしょう」
朔夜の瞳は冷たく輝く。卑怯とは言うまい。既に宣戦布告は為されていると言わんばかり。
何故か決戦主体の戦ばかりが行われるこの世界で、しかも不意打ちやだまし討ちを好まない華琳の軍で、彼女は今回の搦め手をやってのけるつもりだった。
「極少数での奇襲っちゅうわけか」
「たかだが百人、されども百人、です。真桜さんが、居てこそですよ?」
褒められて照れる真桜。ぽりぽりと頭を掻いて、彼女の言葉の続きに耳を立てた。
「霞さんを、延津に動かせたなら問題はありませんでしたが、まだ時期尚早な為に、風ちゃんはそれをしないでしょう。延津に対する、増援だけを抑えてくれればいいんです」
全てを読み取っているような予測に、真桜は寒気が来る。
「延津への増援?」
「白馬の兵数差、こちらの狙い、あちらの狙い。全ての糸は、一つに向かっていますから、逆から手繰るだけで読み取れます。あちらは神速の、動きを確定させられたら最低線で、延津を取れれば予定以上。どの時期で敵兵力を、下げつつ退くかだけが私達の課題です」
相変わらず説明されても分からない。彼女もそれ以上は話す気もないらしい。
「ふふ……火炎瓶“ぷらす”投石器“いこーる”――――」
楽しげな表情は子供のよう。
まだ戦の醜悪さを一筋たりとも経験していないからそんな顔が出来るのだ。人の死に心も痛まず、戦を冷たい論理だけでしか見られないのだ。
朔夜を見て、真桜は危うさを覚えて、そう考えた。
――なぁ、兄やん。この子……このまま成長させてええんやろか?
自分からは言わない。言ってはならない。優しく愛らしいが、彼女がどういった思考をするのかを、真桜は分かっていた。
――朔にゃんは兄やんがどう変わるかによってしか、影響与えられへんもんなぁ。
ため息を一つ。真桜は背を向けて兵達に指示を出そうとして……
「真桜さん」
愛らしい声に呼び止められる。
「この戦は華琳様好みとか、そうで
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