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マザコン
第二章
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第二章

「そっちが必要になったら言ってくれ」
「その時が来たらな」
「頼りにさせてもらうぜ」
「さて、じゃあ楽しくやるか」
 こんな話をしてハイスクールに入ったハイメだった。彼はすぐに皆に受け入れられ明るい人気者として知られるようになった。その彼がだ。
 ある日サリーを見てだ。こう言ったのだ。
「へえ、あの娘ってな」
「んっ、どうしたんだ?」
「何かあったのか?」
「奇麗な娘だよな」
 彼女を見ながらの言葉だ。そのまま見てだ。
「あんな娘見たことないよ」
「惚れたか?」
「目に入ったか?」
「ああ、それならもうな」
 結論は早かった。ハイメは迷わなかった。
 そしてだ。その明るい笑顔で周りにこう宣言したのである。
「よし、決めたぜ」
「決めた?」
「何をだよ」
「あの娘ゲットするからな」
 そうするというのである。
「絶対にな。ゲットするな」
「まさかサリーをか?」
「おい、マジかよ」
「あの娘をかよ」
 しかしであった。彼の今の言葉を聞いた周りは一斉に怪訝な顔になってだ。そのうえで彼に対して言ってきたのだ。今度は咎める顔になっている。
「止めとけ」
「いいか、絶対にだ」
「止めておけ、あの娘はな」
「んっ、何でだ?」
 だがハイメはそんな彼等の言葉を聞いてだ。まずは怪訝な顔で返したのだった。
「何かあるのか?ドラッグやってるとかレズビアンとかそんなのか?」
「ああ、そういうのじゃないさ」
「至って真面目な娘だよ」
「本当にな」
 それは言われる。だがそれでも。
 彼等は同時にハイメにこんなことも言ったのである。
「確かにそんなことはないさ」
「しかしな、それでもな」
「あの娘はまずいんだよ」
 また言うのである。
「マザコンなんだよ」
「もういつも一緒にいてな」
「母親べったりなんだよ」
「マミーがいないと何もできない」
 とにかく重症のマザコンである。このことが言われるのだ。
「そういう娘だからな」
「諦めろ。っていうかな」
「見なかったことにしろよ」
「おい、何だよそれって」
 だがハイメはそれを聞いてだ。目を丸くさせて言い返した。
「そんなことで駄目なのかよ」
「おい、それが凄いんだよ」
「もうな。本当に何でもかんでもマミーでな」
「どうしようもないんだよ」
「マミーが怖くて恋愛ができるかよ」
 ハイメは周りに言われても強気だった。
「そんなことでよ、なるかよ」
「マジでそうするのか」
「本当に洒落にならないんだぞ」
「それでもいいのか?」
「だからそんなことで恋愛なんてできないだろ?」
 あくまで陽気に言うハイメだった。能天気にすら見えるものだった。
 そしてその明るさでだ。彼はまた言った。
「アメリカ人はどんな
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