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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第34話 頑固爺とドラ息子
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 その翌日。交代となる星域管区参謀長と司令副官が軍の連絡船で到着した。参謀長はルイ=モンシャルマン大佐。司令官付き副官はイザーク=ファイフェル少尉。いずれも原作の登場人物であり、第五艦隊の幕僚幹部だ。いずれも原作より若干若作りであり、ファイフェル少尉など士官学校卒業したばかり。それでいきなり初任地がなんでこんな『修羅場』なのかと恐怖と困惑で落ち着きがない……無理からぬ事だとは思うが。

 一方で残留組も改めてビュコック爺様に挨拶する。情報参謀はウォリス=リングトン中佐。西欧系の三〇代前半で、士官学校情報分析科卒。艦隊情報参謀も兼任している。後方参謀はグエン=サン=チ少佐。五〇代後半で、軍補給専科学校卒。やはり艦隊後方参謀も兼任している。そして俺も転属という形なので、前任者はいないが残留組として扱われるらしい。つまりビュコック爺様が呼び寄せた(ファイフェル少尉は人事部の機械抽選の結果だろう)のが交代組。それ以外は残留組だ。

 もう年配の、准将に昇進していなければとっくに退役している歳のビュコック爺様が、あえて新任の司令官としてこのド辺境に赴任したということは、爺様の言うとおり「大掃除」の為に選ばれたということだろう。准将の定年は六五歳なので、治安回復には四年はかかると統合作戦本部防衛部は考えていると見ていい。

 内々に治安回復の命令を受けたビュコック爺様は、司令部要員を全員交代させる権限があったにしても、情報参謀と後方参謀はあえて残したのは、どんな人材にしろ現状の問題点を把握するには、当の本人から聞いておくべきとの考え方からだろう。俺の存在は正直計算外だったのだろうが。

「この星域がド辺境じゃということは承知しておる。じゃからといって海賊の跳梁跋扈を許しておくわけにはいかんのだ。各人にはそれぞれ職務に精励し、治安改善の手助けをしてもらいたい。以上じゃ」
 ビュコック爺様の簡単な訓辞が終わり、それぞれの執務へと戻っていく中で、俺は再びファイフェル少尉に呼ばれて爺様の処へと引き返した。やはり同じように呼び戻されたのか、モンシャルマン大佐も爺様の執務室で待っていた。

「転属してからヒマだったジュニアの目から見ての感想で構わない。現有戦力で海賊共を制圧することは可能かね?」
 モンシャルマン大佐の実務家を思わせる重みのある声での問いに、俺は一呼吸置いてから応えた。
「現有戦力が全て信頼に値するというのであれば、可能であると考えます」
「つまりは内通者がいると考えていいわけだね?」
「さようです」
「リングトン中佐とチ少佐は、海賊討伐に際し、信頼に値する幕僚と思うかね?」
「小官が転属したのはつい数日前ですので、彼らが信頼できるかは正直分かりかねます」
「君が海賊討伐の総指揮を担うとして、最も必要とされる事項を一つあげる
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