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その魂に祝福を
魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方5
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込んでスッとしたというのもあるが。
「いい!? あとでちゃんと全部話してもらうからね!?」
 肩を怒らせて――少なくともそのフリをして、部屋を後にする。私達の日常というのはこういうものだった。光は――ひょっとしたらなのはも、『あの日』のような非日常に今はいるのかもしれない。それについて、私がどうにかできる事はないのだろう。
 なら、せめて。二人が帰ってくるまで、この日常を保ち続けてみせよう。実に腹立たしいが――それが私に出来る精一杯だった。




『今日はいいとこねえな、相棒』
「ほっとけ」
 アリサに蹴られた頭を撫でながら呻く。まさかなのはに続いてアリサにまで後れを取るとは思わなかった。今日は厄日に違いない。
「あんな子どもに負けるなんて。アタシゃ切り札を見誤ったかね?」
 狼の姿でどうやって開けたものやら。自力で檻の外に出てきたアルフが露骨に肩をすくめて――多分そういう意味合いの仕草を――見せた。とりあえず、八つ当たりも兼ねて無言で逆えび固めを極める。というか、半分はこの狼女のせいだ。
「あだだだだだだだ?! 傷開く傷開く傷開く傷開くってばあああああ!?」
 ここでアルフにとどめを刺しても得るものは何もない。適当なところで解放してやる。
「ううう……この外道。怪我までしてるいたいけな乙女になんて事を……」
『狼の姉ちゃんよ。基本的に相棒は容赦しねえぞ? むしろまだ乙女のままでいられたんだから幸運なくら――』
 人聞きの悪い事を言う相棒を取りあえず蹴り倒してから、ピクピクと痙攣するアルフの傍らに片膝をつく。無論とどめを刺すためではなく、改めて傷を観察するためである。見たところ火傷と裂傷が主体のようだ。元々は相当に深い傷だったのだろうが、適切な治療と本人の生命力のおかげで、かなり持ち直している。これなら癒すのは簡単だった。
「小公女の祈りを」
 中空に鉄仮面の幻影が浮かび、癒しの力がアルフを包む。程なくして、彼女の傷は全て癒えた。途端にアルフが包帯を外そうと身体をよじり始める。
「包帯を外すのは待て。せめてこの家から出るまではな」
「結構むず痒いんだけどねえ」
 ぶつぶつ言いながらも、アルフは素直に従った。それを見届けてから、告げる。
「結界は張れるか?」
「まぁ、それくらいは回復してるよ」
「なら、頼む」
 立ち上がり、窓の傍へと進む。アリサに確認を取った訳ではないが、どうせ招待など受けていないだろう。
「お前だって、あの娘達を巻き込むのは本意じゃあないだろ?」
「そりゃ、まぁね。仮にも命の恩人だし」
 多少のぎこちなさはあったものの、アルフが結界を展開する。それを確認してから――ああいや、その前に言うべき事があった。
「アルフ」
「何だい? 結界ならもう張ったよ」
「いや、そうじゃない。
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