魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方5
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る私を他所に、話はどんどん進んでいく。
『あの子がお前のように手加減してくれるとでも?』
「手加減を期待するのは無駄だろうが……それ以外の状況は似たり寄ったりだろうさ」
『何? どういう事だ?』
「どういう事なの?」
光の言葉に、クロノと声が重なった。
「海での封印でかなりの魔力を消耗しているにも関わらず……さらに言えば、プレシアの一撃で傷を負っているにも関わらず、フェイトはあの部屋に帰って来なかった。まぁ、どこかで身体は休めているだろうが、少なくとも精神的な疲労は残っているだろうさ。何せアルフも傍にいない訳だからな」
そこでいったん言葉を切って、光は笑みのような表情を浮かべた。
「それに、あの娘と戦う事が目的じゃあないだろう? 弱っているなら、そのまま素直に保護できるかもしれない」
確かにそれが一番いい決着のつき方だった。もっとも、
(あの子が諦めるとは思えない)
どれだけ傷ついていても、あの子はやめたりしない。そんな事は光にも分かっている事だろう。だからこそ、その笑みのような表情は、決して笑みになどなりはしないのだ。
「ところで、具体的にどうやってあの子を探すつもりなんですか?」
「探すなんて手間をかける気はない。向こうから出てきてもらう」
ユーノの言葉に、光はきっぱりと言い切った。
「俺がなのはを選んだもう一つの理由はまさにそれさ。何せ、フェイトにはなのはを襲撃する理由があるんだからな」
「そっか、ジュエルシード!」
私が持っている五つのジュエルシード。あの子は――あの子のお母さんはそれも欲しがっているはずだ。
「そういうことだ。お前は今五つ持っているはずだな? フェイトは今八つ持っていたはず。足して十三なら、六割は手に入れたことになる。向こうの望みが何であれ、それで満足する可能性はあるだろう。それに、」
『あなたの持っている分を狙うより楽だと考えているでしょうしね』
「そういうことだ。その辺はフェイトの意思というより、むしろプレシアの采配次第だが……まぁ、そう分の悪い賭けじゃあないだろう?」
その言葉に、リンディとクロノが頷く。それを見届けてから、光は私に言った。
「いいか、なのは。正直に言えば、お前が勝とうがフェイトが勝とうがその辺はあまり意味がない。お前が負ければ、フェイトはそのジュエルシードを持ってプレシアのところに帰るだろう。その隙にリンディ達がプレシアの居場所を把握するだけの話だからな」
それはそうだろう。あの子を倒す事は目的ではない。それくらいの事は分かっている。
「でも、私が勝てば、あの子をすぐに助けられる。そうでしょ?」
どうすればあの子を助けられるのか。そんな事は分からない。でも、このままでいいはずがないのだから。それに、
「そうだな。だが、恨まれるかもしれないぞ
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