魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方5
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ホッと一息ついていると、突然アリサに言われた。思わずドキリとする。確かに、色々と悩んでいたのは事実だけれど――でも、そんな事は一言も言っていなかったのに。
「まさかあれで隠してたつもり? 光がいなくなった事が原因なんだろうなと思ってしばらく黙ってたら、今度はなのは自身までいなくなっちゃうし。何か理由はあるんだろうけど、せめて一言くらい相談して欲しかったわ」
「そうだよ。心配したし、寂しかったんだから」
「ごめんね」
言われて初めて気づいた。私が二人の立場だったらやっぱり心配もするし、寂しかったと思う。魔法の事は話せないけど、きっと話せる事はあったはずだ。でも、そんな事は思いもしなかった。だから、せめて――
「あのね」
自分の覚悟だけは伝えておこう。そう思った。
「あのね。私、まだ行かなくちゃいけないところがあるんだけど……」
少しだけ迷う。でも、告げた。
「そこから帰ってくる時は。その時は、一緒に友達を連れて帰ってくるから。二人とも、仲良くしてくれる?」
「当たり前でしょ? 何言ってるのよ」
「そうだよ。うん、今から楽しみ」
何の迷いもなく。当然だと言うように、二人は笑って頷いてくれた。
良かったと、素直にそう思う。これで安心して帰って来れる。あの子を連れて、絶対に帰ってくる。
「アンタ達が今何をしてるかはもう訊かないわ。でも、いい? 必ず帰ってきなさい。勝手にどこかに言っちゃダメよ?」
真剣な顔で、アリサが言った。
「そうだよ。何を悩んでたのかは、なのはちゃんが話してくれるまで聞かない。でも、黙ってどこかに行くのはダメだよ。二人とも絶対に帰ってきてね」
すずかも同じだった。
「大丈夫。どこにも行かないよ。友達だもん」
思わず泣きそうになって、慌てて目をこする。声が少しだけ上ずったかもしれない。
ここが――こここそが光が守りたかった場所で。私があの子とも分け合いたい場所なんだと改めて思う。
(待っててね。きっと、私達が助けるから)
金髪の少女へ――まだ直接は名前を聞いていないあの子へと語りかける。本当の事を言えば、どうすればあの子を助けた事になるのか分からない。けれど、
(だよね。光お兄ちゃん)
結局は兄任せに過ぎないと言われたとしても――光に協力すると決めた私の選択は間違っていない。それくらいの自信はあった。
6
アルフを引き取り、アリサの家を後にしてからの事だ。
「それで、時の庭園とやらは見つかったか?」
夕暮れを過ぎた街の片隅で、適当な方向に向かって問いかける。
『残念ながらまだよ』
即座に虚空に魔法陣が浮かび、リンディの姿が映し出された。驚くまでもない。連中がいったん根城に戻ってからというもの、ずっとこちらを監視していたのは分かっていた。
『アル
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