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その魂に祝福を
魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方5
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 我ながら血塗れた生き様だ。
 自分の記憶を振り返れば、嫌でもそう言わざるを得ないだろう。もっとも、戦場から戦場へと渡り歩くその生き方を他に表現する言葉があるなら、それでも構わないが。
 別に自分とて好き好んでそうしていた訳ではない。それほどに血に飢えていた訳ではない。少なくとも、そのつもりだった。だが、どうしてもそんな道しか選べなかった。他に選択肢があったかどうか。それすら分からないまま。
 血に飢えていた訳ではないが――それでも、狂ってはいたのかもしれない。恩師とその相棒を生贄とし、世界を救ったあの日から。
 それほど大げさな事ではないにしても、自分が平穏の中で生きている間も本当の意味で戦いとは無縁だったわけではない。魔物は日々生まれ、それに対する排除要請、または救済要請のいくらかは自分の手元に届く。それは、不死の怪物である自分を頼りに届く事もあれば、ただの魔法使いとしての自分に届く事もあった。
 魔法使いとして生きる事を選んだあの日から、戦いは常に身近な所にあった。それは仕方がない。自分が受け継いだ世界では、魔法使いは必ずしも異端扱いはされていなかったが、それでも少なくない魔法使いが魔物と戦い続ける道を選んでいた。それは仕方がないことだろう。魔物の脅威は無視できない。暴徒化した魔法使いを最も被害なく鎮圧できるのも魔法使いでしかない。結局のところ、それはそれぞれが下した世界を救うための選択だったのだろう。自分と同じように。本質的に、そこに大きな違いなど何もない。
 自分達はそれぞれが世界を救うために戦い続ける道を選んだ。ただ、それだけだ。
 だからだろう。新しく放り込まれたその環境は、自分を困惑させるには充分だった。ごく普通の平和な家庭。文字通り忘れるほど長く生きてきた自分だったが、初めての経験だと言わざるを得なかった。せめてもの救いは、息子は相棒と同じ血筋で――上の娘に至っては相棒の実の娘という事だろうか。二人とも血の匂いが染みついている訳ではないが、それでもどことなく相棒と似たような考え方の持ち主ではある。なかなかうまく言い表せないが……多分、流派の根底にある思想なのだろう。あるいは血に刻まれたものかもしれないが。とはいえ、それを告げればただでさえ険悪な関係が余計悪化するであろう事は疑いなかった。特に相棒の実の娘である姉とはなおさらだ。だが、自分を困惑させたのはそんな関係ではなかった。自分とその兄妹達の関係が改善するまでそれほど時間はかからなかったし――ついでに言えば、殺伐とした関係にも慣れがあった。
 自分を困惑させたのは、末の娘と彼女達の母親だった。どちらも殺しはおろか戦いとすら無縁な人間だ。永く生きてきた自分にとって、最も縁が遠かった存在である。
 末の娘――なのはが無邪気に懐いてくる事に慣れるのにも随分と時間が必要
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