魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方4
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レイジングハートが鋭い叱咤の声を上げる。それに弾かれ、反射的にレイジングハートを振り回した。意図や考えがあった行動ではなかったが、意味はあったらしい。青白い何かが後を追って煌めく。光の右腕を中心に渦巻く冷気が生み出す氷の狼。それが獲物を捕え損ねて悔しそうに唸なった気がした。ともかく、近づかれたらどうにもならない。慌てて後ろに向かって飛ぶ。
「悪いが遊びは終わりだ。そのデバイス、破壊させてもらう」
そのあとを追って届いたのは、冷厳な宣告。魔法使いは目的を達成するためには手段を選ばない。リブロムの言葉が蘇った。……目的?
(光お兄ちゃんの目的は何?)
決っている。レイジングハートの破壊だ。いや、違う。それは手段に過ぎない。それなら、本当の――本当に目的と言えるものは何か。
(それは、私を魔法使いにしないこと……)
それは何故?――そんな事は決っている。私を守るためだ。あれだけの攻撃を受けてなお、私自身は傷一つ負っていない。つまり、それが光の目的。それなら、
(負けないんだから!)
負けられない。そのためには、手段を選んでいられない。覚悟を決めて、上空へと一気に加速する。なるべく高く。光の追撃がくるまで、時間が許す限りの高さまで。
「逃がすと思ったか?」
翼を広げた光が――赤い閃光が迫る。
(ごめん! もう一度だけ耐えて!)
二刀流に戻った光の小太刀を、レイジングハートで受け止める。亀裂が大きくなったが、それでも何とか耐えきった。その反動さえ利用して、上空へとさらに加速する。必要なのは高さだった。光が体勢を立て直すまでのほんの僅かな時間で、超高層マンションの屋上を遥かに見下ろす高さまで辿り着く。
「行くよ……ッ!」
その作戦に、今さら恐怖を覚えた。けれど、それを飲み込む。大丈夫だ。
そして、運命の瞬間を迎えた。
4
「あの高さだと、さすがにもう見えないな……」
『だな。だが、あの様子なら気づいたかもな?』
「ああ。そのようだ」
空を見上げ、高町なのは達の兄と、御神光の相棒がそんな事を言った。
「一体何を言っている?」
私は相変わらず首に剣を突きつけられたままだった。彼に危害を加える気があるとも思えないが、形だけなら相変わらず人質のままだ。それが、息子――クロノが不機嫌な理由の一つだろう。
『あのチビが相棒に勝つ手段さ。千載一遇の勝機だが……あの様子なら嗅ぎ分けたらしい
な。さすがはオマエらと同じ血が流れてるって事か。ヒャハハハハハ!』
そのクロノの肩の傷――かなりの深手のようだったが――を塞いで見せたリブロムが気楽な様子で笑う。
「不思議と素直に喜べないな」
彼はため息をついてから、しみじみと言った。
「だが、これでおそらく光の負けだな。美由紀に先を越される可能
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