暁 〜小説投稿サイト〜
その魂に祝福を
魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方4
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れているが、それでも油断はない。無理には動けなかった。クロノも同じだろう。何せ、彼は私やクロノよりも確実に早く動けるのだから。
「ただ。今回はリブロムが悪巧みを成功させたので」
『酷い言われようだな。オレはオレなりに気を使ったんだぜ?』
 いつの間にか恭也の足元に来ていたリブロムが笑った。
「まともに殺し合えば――そうでなくても戦闘になれば、なのはは光に勝てない。ですが、あの条件ならあるいは、ね」
 お前も酷い条件を出したな――空を見上げてから、リブロムに視線を下ろして彼は小さ
く笑ってみせた。
「あの条件……?」
『相棒はあのビー玉……つーか金色の鈍器を破壊するのが目的だ。ハナっからあのチビに傷の一つだってつけようとは思ってねえよ。しかも、ちょっと煽ってやったからな。一発でもくらえば負けを認めるだろうさ。ああ見えて意外とそういうの気にするしな』
 にやにやとリブロムが続ける。
『相手は才能の怪物。狙える場所はあの棒っきれ一本。間違ったってそれ以外のところにゃ当てられない。しかも向こうからは一発くらったら終わり。禁術の代償と衝動に任せて暴れまくったせいで消耗した身体でどこまでできるかな? ヒャハハハハッ!』
「まぁ、そういうことです。これだけお膳立てが揃っていれば、あるいは……」
 そこまで言って、彼は苦笑したらしい。そして、鋭い声で言った。
「もっとも、ここでなのはが負けてくれるならそれはそれで安心できる」
 ツッ――と、視線が鋭くなる。魔法が使えなくなれば、私達の関心もなくなるだろう。言外にそう告げられたといったところか。分かっていたが、随分と嫌われているものだ。
『ところで、実際のところ気分はどうよ?』
「良い訳あるか」
 冷やかすようなリブロムの言葉に、彼らの兄は半眼で吐き捨てる。そして、
「だが、仕方がない。何せ初めての兄妹喧嘩だしな。しばらくは見守ってやるさ」
 深々とした、心からのため息と共に呻いた。




 分かっていたことだけれど。それでも、改めて思い知らされた。
(やっぱり強い……っ!)
 光は、あの子よりももっと強い。手加減されているのは分かるのに、守ることしかできない。いや、違う。これは守っている訳ですらない。
(ダメ、このままじゃ……)
 光の狙いはレイジングハートの破壊だった。そして、その一撃一撃によって確実に少しずつ削り取られていく。このままではいけない。
(このままじゃ、本当にレイジングハートが壊されちゃう!)
 ほとんど自分に当てるようなつもりで無理やりにディバインシューターを発動させ、強引に間合いを開く。思ったよりもあっさりと光は距離を取らせてくれた。
「基本は出来ているな。リブロムに教わったか?」
「少しだけね。でも、これならユーノ君の言うように基礎じゃ
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