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その魂に祝福を
魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方4
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「何……ッ!?」
 その白い魔女の顔立ちは――二十歳前後の魔女の顔は、何故かあの少女に……
 ……――
『どうしたよ、相棒?』
 飛び起きてから、どうやら自分が夢を見ていたらしい事を悟った。霧散していく悪夢の残滓を、そのまま呻くようにしてリブロムに告げる。と、相棒はこう言った。
『ひょっとしたら、そりゃ予知夢ってやつかもなぁ。このまま我儘いっぱいに育てちまうとそーなるんじゃねえのか? ヒャハハハハハッ!』
 いや、まさか――そう思わなくもなかったが。だが、事実としてこの少女には魔法の才能がある。それも『彼女』と同じ魔法の才能が。だからこそ――いや、むしろ気にし過ぎなのかもしれない。この世界で普通に生きている分には目覚める可能性などほぼないと言っていいのだから。
(そうだな。気にし過ぎなのかもしれない)
 額を抱えながらため息をつく。今さらになって、自分が嫌な汗をかいているのに気づいた。服がべったりと張り付いて気持ち悪い。特に少女にしっかりと抱きつかれた胸から腹にかけてはなおさらだ。しかも何か妙に生温いような……。
『いや、ちょっと待て相棒。そりゃ……』
 リブロムを制して、頭を抱える。考えてもみれば、この少女は映画を見ている間、大量にジュースを飲んでいた。沢山叫んだせいで喉が渇いたのだろう。それはいい。だが、その後、怖くてトイレに行けないと言っていたような……。
 それから先の事は、少女――なのはの名誉のために黙っておく事にするが。
 ともあれ、それからしばらく自分はリブロムをそっちのけで育児書の類を読み漁る事になる。まさかあれが本気で予知夢だと思った訳ではないが……念には念を入れるべきだ。
 そして、それから二年ほど経って。
「も〜! 何でそんな意地悪言うの?!」
 頬を膨らませるなのはをさらにからかって見せる。さすがにプイッとそっぽを向かれたが、それだけだ。ちゃんと謝って頭を撫でてやるとすぐに機嫌を直す。それは自分だけではなく、他の誰かを相手にしてもそうだという。
 清く正しく美しく。そして、何よりちょっとやそっとの事で――いや、実際のところ何が原因だったかは知りようもないが――怒りに我を忘れて火力鎮圧したりしないように強かに逞しく育てる事には取りあえず成功したらしい。もちろん、魔法使いの才能が開花したりもしていない。それで、あの悪夢が回避できたかどうかは――今はまだ分からないが……もう忘れてしまった悪夢などどうでもいい。
 妹には……不死の怪物を兄と呼ぶこの少女には、このまま魔法とは――戦いとは無縁の世界で生きていて欲しいと切に願っている。誰に願えばいいのかも分からないまま、それでもこの子の素質に気付いたあの日からずっと。




「クロノ!?」
 マンションの最上階付近から先に落ちてきたのは、息子―
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