魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方4
[15/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
るのだから。
6
「それで、あなた達はこれからどうするつもりですか?」
御神光と高町なのはを見送ってから、彼らの兄は私達に訊いてきた。それで我に返る。 もっとも、気のきいた返事など返せそうになかったが。
(状況の一つ、か……。確かに、彼にとってはそうだったんでしょうね)
プレシア・テスタロッサ。そして『製造者』という言葉。御神光はあの少女の『出自』に関してかなり深いところまで理解している。その上で彼女を救おうとしている。それなら、確かに『妨害』ばかりしてくる私達をいちいち気にする必要などどこにもない。所詮は状況……リスクの一つに過ぎないだろう。……本人も言った通り、今の時点では。
おそらくは助けを必要としている少女に危害を加え、無関係の妹を巻き込む。しかし、争ったところで得るものなどない。確かにリスク以外の何ものでもないか。せめてそこで交渉という選択肢を挙げてくれていれば――
(いいえ、それも無理でしょうね)
第一印象の悪さを差し引いたとして。私達が交渉に足りると判断させるだけの要因はなかったはずだ。窓口になのはを選んだのも今となっては失敗だったと言わざるを得ない。彼の目的を考えれば、私達との交渉そのものに意味を感じていなかっただろう。彼が求めているのは、あの金髪の少女達の平穏な未来。私達と交渉したところで、それを得る事ができるかと問われれば……否定するより他にない。海上での一件までは捕縛すべき存在としか考えていなかった。今も職務に忠実であろうとするなら、それは変わらない。彼はそれを理解しているだろう。
(本当に徹底してるわね)
実際に彼が置かれた状況でそこまで割り切れるかと言われれば、私には無理だろう。それに、彼は別に自暴自棄になっている訳ではない。状況を把握して、己の不利を理解して。それでも『彼女を救うため』の選択を選んだだけだ。それなら、
「そちらにも事情があるのだろうが……もしもあの二人の邪魔をするというなら、仕方がない。ここで足止めさせてもらう」
二人の兄――恭也と呼ばれた男性の視線に再び鋭さが宿る。身構えるクロノを制止して、問いかけた。
「彼の力になるとしたら、私も一騎討ちを挑まなければならないのかしら?」
「別にアイツは戦闘狂という訳ではないのですが……」
警戒は解かないまま――それでも呆れたように、彼は肩をすくめた。
「もしも本当にその気があるなら、その覚悟をぶつけてみればいいと思いますよ。例え違う手段でも、なのはと同じようにね」
なるほど。それは挑みがいがある。
「もう一つだけ教えていただけるかしら?」
「俺に答えられる事なら」
「光君は無謀な人間かしら?」
「いいえ。言動はあんな調子ですが、慎重すぎるくらいですよ。なのはが関わっている今は特にね。もっとも、今はそのせいで
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ