魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方4
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に協力する?」
「そりゃ、単独で突撃して無様にも返り討ちにあった挙句、無関係の一般人まで巻き込んだどこぞのネズミ野郎より、自力で解決できそうなあの子達の方がいくらかマシだと思わないか?」
どこかで聞いたような言葉と共に、光が肩を竦めた。
「あの子の方が利用価値があるから?」
フン、と恭也が面白くもなさそうに鼻を鳴らす。
「嘘だな。お前がそんな理由だけであの子と行動を共にする訳がない。その程度の事は俺にだって分かる」
「そっちがどう思うかは勝手だが……それは買いかぶりすぎだな。俺は正義のための人殺しだぜ?」
「ああ。確かに必要とあれば人だって殺せるんだろう。だが、お前は殺人狂じゃない。ただのお人よしのバカ野郎にすぎない。殺さなければならないなら、そこには必ず相応の理由がある。その理由は何だ?」
わざと苛立たせるような光の言葉など全く気にも止めず、恭也は言葉を続ける。
「相応の理由があれば良いってものじゃあないだろうが……まぁ、いいさ。殺戮衝動を抑えるためだよ。こんなところで魔物に堕ちる訳にはいかないからな。利用できるなら何だって利用するさ」
それは嘘だと思う。それなら、何でジュエルシードを使ってみないのか。何となく……漠然とした予感だけれど、光ならきっと使えるはずなのに。
そして。恭也は光の言葉など全く気にも止めず、告げた。
「あの子を孤独に追いやっている原因。それが、その衝動が目覚めた理由だ。違うか?」
「…………」
言葉の上では問いかけだった。けれど、それは間違いなく断言だった。それは他ならぬ光こそが分かっている事だろう。舌打ちと共に沈黙する。
「プレシア・テスタロッサ」
これ以上の抵抗は無駄だ――そう悟ったらしい光は短く告げた。
「あの娘の母親だよ。もっとも、『母親』という呼び方が適切かどうかは知らないがな」
驚いたのは、リンディ達だけだったように思う。恭也は――少なくとも表面上は――冷静さを保ったまま続ける。
「他の呼び方をするなら?」
「確証がある訳じゃあないから迂闊な事は言えない。だから、聞かなかった事にして欲しいんだが……」
私を下ろしつつ、そんな前置きをしてから光も――少なくとも表面上は――軽薄さを見せて言った。
「製造者ってところかな」
どこでも聞ける言葉のはずなのに、今は嫌な響きだった。もっとも、それも当然だ。まるであの子を物扱いするような言いようだった。
「製造者? どういう意味だ?」
今度こそリンディ達は本当に言葉を失ったらしい。大きく目を見開いて、光を見つめている。そんな中で、恭也が問いかけた。しかし、
「さぁな。確証がある訳じゃないって言っただろう」
はぐらかしたのか。それとも本当なのか。その言葉だけでは判断はできそうにない。
「まぁ、いいだろう。それで
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