魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方4
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性は考えていたが、まさかなのはに先を越されるとは思ってなかった……いや、そうでもないか」
その声には、明らかな確信があった。つまり、希望的観測でも何でもなく、ただ純粋な
事実として、彼はそう言ったに違いない。だが、それは一体何故?
「高町なのはが、御神光に勝てるだと? 何故そう思う?」
同じ疑問を抱いたのだろう。クロノが問いかける。対して、あの子達の兄はあっさりと肩をすくめて言った。
「なのはは御神光には勝てないよ。だが、『高町光』がなのはに勝てる訳ないんだ。それは昔から……あいつが家族になった時から今も変わらない」
『ま、そういうことだ。それに気付いてねえのは本人だけだろうな』
彼らの言わんとしている事を理解できた訳ではない。だが、どうやら決着がついたらしい。彼らの言い分が正しいのか否かが示された訳だ。それも、私達の目の前で。
5
翼を広げた光が迫ってくる。もう、距離を狭められる訳にはいかなかった。これ以上の攻撃はレイジングハートが耐えられない。
(でも、魔法の撃ち合いで私が光お兄ちゃんに勝てる訳がない)
私は所詮素人で、光は間違いなく専門家だ。そもそも最初の夜にリブロムが言っていたことだった。光は最も力を持った魔法使いの一人だと。だから、まともに戦ったところで勝ち目なんて最初からない。
(だから、リブロム君はあんな事を言ったんだ……)
私を助けてくれた。私が私の我儘を叶えるための、たった一つだけのチャンスをくれた。それを無駄にはできない。だから、
「ええいっ!」
私は覚悟を決めて、一気に下に向かって加速する。そして、その途中でレイジングハートを大きく放り投げた。もちろん、バリアジャケットも解除してある。魔法の杖を手放し
た私は、もうそれだけで魔法使いではなくなった。
つまり、ただの人間である私に空を飛べる訳がないのだ。
「なっ!?」
重力に引かれるまま地面に向かって落下する。最初の加速と併せれば相当な早さで地面が迫ってくる。そうでなくても、この高さから地面に叩きつけられてしまえば、絶対に助からない。そんな事は分かっていた。ごうごうと耳の中で谺する風の音よりも、不思議と光が絶句する声がはっきりと聞こえた。
「クソッ!」
光とすれ違うのは一瞬だった。あっという間に、光の姿が遥か上空に取り残される。毒づきながら光が追いかけてくるのが分かった。超高層マンションが流れる様に上に伸びていく。そんな風に見えた。その速さに気絶してしまいそうになる。だけど、ここで気絶してしまえば全てが水の泡だ。必死になって意識を保ち続ける。
「間に合えッ!」
一切の魔法の力がない――何の守りもない私に寄りそうように、少しずつスピードを調整した光が私の身体を抱きとめる。それと同時、急激な減速。多分、その時点でも
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