魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方3
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いますから」
何とか気持ちを抑えて。それでも、はっきりと言い切る。さすがに、リンディは言葉に詰まったらしい。
「お話はそれだけですか?」
自分でも驚くくらい刺々しい声。こんなのはただの八つ当たりだと分かっているのに、自分でも止められない。これじゃ、ただのわがままな子どもだ。それくらいの事は分かっているのに。
「それなら、もう私は行きます。ごめんなさい。全部終わったら、預かっているジュエルシードもちゃんと全部お返ししますから」
「待って! 話はまだあるわ。あの金髪の少女達について――ッ!」
魔力を集め、空へと舞い上がろうとする。それより早く、リンディが動き――
「そうだな。もう少し詳しく話を聞かせてもらおうか。さすがに俺なんかよりも状況を把握していそうだからな」
そのリンディより早く、誰かが彼女の背後に姿を現す。そして、そんな言葉と共に彼女の首筋に背後から刃が付き付けた。
「お兄ちゃん……?」
その剣の持ち主を見て、思わずポカンとしてしまう。そんな私を見て、兄はやれやれと言わんばかりに肩をすくめてみせる。
「あの子を探すのは任せておけと言っただろう? ……まぁ、この様子じゃ完全に出遅れたようだが」
『いや、そうでもねえ。オレ達は元々オマエをつけてきたんだ。お陰で助かったぜ』
リブロムがにやりとして言った。
『なぁ、恭也』
姿を見せたのは、私のもう一人の兄――高町恭也だった。
「―――」
リンディが何かを言おうとして、それより早く恭也が口を開く。
「動かない方がいい。女性に背後から剣を突き付けるなど、剣士の風上にも置けないのは承知しているが……さすがに俺もいくらか機嫌が悪い。正直、今にも手元が狂ってしまいそうなくらいにな」
言葉に反して、その刀は微動だにしない。手元が狂うなんて事はないだろう――が、そんなものは危険と紙一重な安全である事くらいは、私よりもリンディの方がよく分かっているだろう。
「リブロム。さっき言っていた火傷とは禁術とか言う魔法の影響か?」
『そうだ。……何だ、相棒から聞いたのか?』
「いや、父さんからだ。初めて会った時に酷い火傷をしていたらしくてな。それがあまりに奇妙な傷だったから後で理由を聞いたらしい」
『そうかい。しっかしまぁ、今にしてみると、あの時の士郎に火傷の心配されるってのも笑える話だよな』
「……さすがに今でも笑い話にはならないと思うが」
げんなりとしながら、恭也が呻く。
「まぁ、いいか。なのは、俺はこの人と少しばかり話があるから、お前は先に光のところに行ってやってくれ。みんなで家に帰ろう。もちろん、あの子達も連れて」
いつも通りの声で、恭也が言った。ささくれ立っていた心が、それだけで落ち着く。
「うん、任せて!」
大きく息を吸って。ゆっくり吐き出して
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