魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方3
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あのデケエ建物だ!』
サーチャーを避けるために小刻みに展開された結界を飛び石のように伝いながら、私はその建物――高層マンションを見上げる。どうやら、あそこに光はいるらしい。
根拠は分からないが、リブロムは確かにそう言った。今はそれを信じて飛ぶだけだ。
『しっかし、あの嬢ちゃん。いいトコ住んでやがるなぁ……。相棒もどうせ隠れ家を作るならあれくらい派手なところにすりゃいいのに』
「そんなのんきな事言ってないで手伝ってくださいよ!?」
本当なら目的地まで一つの結界で覆ってしまうのが普通なのだそうだが――サーチャーが混乱している今、下手に結界を張って行き先を特定されないようにしたい。そのための苦肉の策なのだが……飛び飛びに結界を張るのはやはり難しいらしく、ユーノが悲鳴を上げる。もっとも、そんな事で動じるリブロムではないのだけれど。
『生憎と人払いの魔法ってのは覚えがなくてな。それより、その先にあの機械があるぞ』
「あああああッ!? なのは曲がって曲がって!」
発動しかけていた魔法を中断し、ユーノが悲鳴を上げた。慌てて急激な方向転換。その結果私達は結界を飛び出してしまう。さすがのユーノも結界が間に合わない。
「あれ? 今何か白いものが通らなかったか?」
「ああん? おいおい、ここを何階だと思ってるんだ? 怪談話にゃまだ早いだろ」
そんなやり取りが聞こえた気もしたが――取りあえず、気づかれなかった事にして、ビルの窓ふきをしている業者さん達の背後をすり抜ける。その先で再び、私達は結界に包まれた。取りあえずホッと一息。そして、さらに加速する。
一分でも。一秒でも。一瞬でも早く。本当に、もう時間がないのだから。
そして、マンションまであと二〇〇メートルといったところで。
「あっ!?」
小さく悲鳴をあげる。ユーノの結界によって無人となっているはずのその場所に人影があった。濃紺の制服に緑色の髪。一人の女性が、マンションの入り口に立っている。
「リンディさん……」
リンディ・ハラオウン。アースラの艦長。今この世界にいる管理局の最高責任者。
もちろん、敵ではない。けれど、私が光と合流するための最大の障害となりえる相手。身構えるなという方が難しい。レイジングハートを握りながら、小声で問いかける。
「どうしよう?」
『厄介だな。無視して突破してえのは山々だが……』
リブロムが舌打ちする。それに応えたのは、ユーノだった。
「ここで管理局に追われている時間の余裕がない、ですか?」
『そう言う事だ。さらに言うなら、相棒のところに案内しちまうのもマズイ』
「でも、今さら気づかなかった事にはできない、よね?」
リンディがここにいるのは偶然ではない。明らかに私達を待っていた。
『まぁな。思った以上に優秀だな。ここでテメエから
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