魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方3
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秩序に飛び回り払い落す。
「ブレイズキャノン!」
ついでに、再び実体化する前に纏めて吹き飛ばす。だが、ひっきりなしに他のネズミや猫や、甲冑や鳥女の攻撃が飛び交う。もちろん、その中には御神光の魔法もあった。御神光だけに集中できない。いくつもの攻防を同時に捌いていかなければ命がない。もちろん、条件としては御神光も同じはずだが。
(クソッ……。もっと無駄なく動かないと体力が持たない)
理性などろくに残ってもいないくせに無駄なく捌いていく御神光と異なり、こちらは派手に動き回らざるを得ない。結果、かなりの量の血が辺りに滴り落ちた。魔力はともかく、体力の消耗はすでに無視できない。
≪おい、坊主。聞こえるか?≫
念話――だったのだろうか。誰かの声がした。いや、錯覚だったのかもしれない。
≪やれやれ。彼が正気でない可能性は考慮できただろうに。何故のこのことこの異境に足を踏み入れたんだ?≫
再び声がした――ような気がする。しかも、先の声とは別人のように思えた。
≪まぁ、そう言ってやるなよ、相棒。今はこの坊主を生還させるのが先だ。さすがに見捨てんのは寝覚めが悪くて仕方ねえ≫
≪我々は本来、もう目覚めるはずもないんだがな≫
再び最初の誰かの声。それに続いて、もう一人が呆れたように言った。
≪いいんだよ。細かい事は気にすんな≫
冗談でも言い交わすようなやり取り。それが念話なのか幻聴なのか、それを判断しているだけの余裕がない。光もろともに鳥女に喰われそうになる。そのおかげで、光の注意がそちらに向いた。今のうちに何とか体勢を――
≪いいか、坊主。どの道お前一人じゃそのバカ弟子には勝てねえ。さっさとこの異境をぶち抜いて逃げちまいな。何、そこまで強度の高いもんじゃねえ。後は気合いだ≫
異境というのは、この結界の事か。だが、破ってしまって平気か? 御神光はもちろん、この怪物達まで外に出てしまえば、それこそ収拾がつかなくなる。
≪この異境は、偽典リブロムの記述を模したものだ。つまり、あの魔物どもはこの外では存在できない。その心配は無用だ。そもそも、君が言った事だぞ。『幻の魔物』だと≫
二人目の誰かが言った。確かに僕が言った言葉ではあるが――これは彼が有するはずのジュエルシードが生み出した思念体だと思っていたからである。それを自分もろともに結界に閉じ込めている、そう判断したからだ。だが、この声を信じるならそうではないらしい。もっとも、この声が本当に聞こえているのか。本当に信じていいのか。追いつめられ都合のいい妄想に囚われているのではないと断言できるのか。
≪迷っている暇はない。よく見るといい≫
落ち着き払ったその声に――それが意味する事に背筋が強張った。御神光の右掌に、巨大な火球が生じつつある。単なる魔力弾ではなさそうだ。
≪来るぞ。あの
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