第十三章 聖国の世界扉
第七話 世界扉
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た鏡面が収まった後、ハッキリとした線で描き出されたのは何処かの部屋。虚無魔法で生み出した“世界扉”から、一人用のベッドと本棚の他に数える程度の家具しか見えないが、そう広い部屋でないのは確かだろう。木目調の落ち着いた雰囲気を感じられるが、何処となく怪しげな気がするのは、奇妙な形の器具や注射器等が机の上に置かれており、何かの実験室のようにも見えるからだろうか。
「何処よ? ここ?」
「何かの実験室のようにも見えますが……」
唯一の明かりである蝋燭の炎に浮かび上がる部屋の中を見渡していたルイズたちの目が、不意に一点に集中する。視線の先に浮かぶのは、誰か女性のシルエット。
「人?」
「女性……でしょうか?」
ルイズたちが目を細めその詳細を確かめようとした―――瞬間。
『ちょ、ちょっと待って。何でこんなのが映ってるのよ? って言うか何、これ? えっと、もしかして……“こすぷれ”ってやつ? でも……何でドレス? うわっ、派手な服……どこぞの教皇様じゃないんだから……って、何か普通に高そうな……いやまさか……いやいやいやいや、ない―――ないわねそれだけは。じゃあ、ここは……って言うか肝心のアイツは何処よ。アイツが映らないと意味ないじゃない? まさか失敗……ちょ、ちょっと待って、待ちなさい―――三百万―――っ!! 三百万も使ってコレ? うっかりってレベルじゃないわよっ!! ここまで期待させて間違いでしたじゃ許さないわよッ!!?』
「「「―――ッ!?」」」
「っ」
声が聞こえた。
突然聞こえてきた女の声に、ルイズたちがただ純粋な驚愕を見せる中、唯一人士郎だけが何処か懐かしげな色をその顔の中に忍ばせていた。
“世界扉”の向こうから聞こえてくる女の声は、近くでありながら何処か遠くから話しかけられているような、そんな奇妙な違和感が感じられた。
謎の女の脅しとも悲鳴ともつかない絶叫に目を白黒させながら聞いていたルイズたちであったが、怒声と共に蝋燭の明かりが届かずシルエットだけしか見えなかった女の影が、“世界扉”に近付き拳を振り下ろしてきた。
ドスンと言うよりも、ドガンッと言うべき音が響く中、謎の声の主である女の顔を蝋燭の明かりに照らしだす。
「―――これは」
「へぇ」
「わぁ」
「―――あ」
「―――え?」
感嘆の声の中に―――戸惑いが二つ。
視線の先にあるのは、“世界扉”の向こうの世界。
淡い光に浮かび上がるは、一人の若い女性。
それも、際立って美しい女性であった。
人間離れした美しさを持つ反面、何処か儚げな雰囲気が感じられるヴィットーリオやティファニアとは違い、ある種の力を感じさせる美しさ
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