第十三章 聖国の世界扉
第七話 世界扉
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宙の一点目掛け振り下ろされた先に、ポツリと小さな点が生まれた。透明な輝きを放つその光の粒は、徐々に大きくなり―――やがて手鏡程度の大きさでその成長が止まった。
「これって……鏡?」
「―――いや、違う」
ルイズが呟いたそれを、士郎が否定する。
鏡のように見えたそれは、しかし明らかに違った。何故ならば、映し出された光景が違う。それは、士郎には見慣れた光景。
天を突くような高い塔が無数に立ち並ぶ―――それはこの世界では有り得ない―――高層ビルが立ち並ぶ都市の光景であった。
皆が食い入るように鏡のようなナニカに映し出される光景を見つめる中、ヴィットーリオは自身の魔法が成功したことに満足気に大きく一つ頷いた。
「それに映し出されているのは、ここではない遠い何処か―――異世界です。この世界こそが、時折この世界に現れる“場違いな工芸品”と呼ばれる物が生まれた世界です」
「―――そして、エミヤシロウの世界でもある、ですよね」
鏡のようなナニカの前に立つヴィットーリオの後ろで、ジュリオが士郎に笑いかける。
「わたくしは以前からこの世界について知っていました。それと言うのも、わたくしが初めて会得した“虚無の魔法”は、この“世界”の光景を映し出す魔法でした。ただ映し出すだけで、他には特にこれといった力のない魔法でしたが、今回はどうやら違うようですね。そう、何故ならば、この魔ほ―――」
「あ?」
「え?」
「なに?」
「っ、聖下!?」
ヴィットーリオが新たに会得した魔法の詳細について語ろうとしたのを、ルイズたちが上げた戸惑いの声が遮った。
「? どうかしましたか?」
ルイズたちの視線は自分の背後。つまりは虚無魔法で生み出した“世界扉”に向けられていることに気付いたヴィットーリオは背後に顔を向け、
「―――え?」
戸惑いの声を上げた。
自分が生み出した“世界扉”に映し出されている光景に、奇妙な揺らめきが生まれていた。それは段々と大きくなり、映し出される光景は既に何が映っているのか想像すら不可能。
「魔力切れ?」
ルイズの言葉を、使い手であるヴィットーリオが否定する。
「確かに必要最低限の魔力しか込めてはいませんでしたが、これは―――何かが違います」
戸惑いの声が混乱に変わる―――その直前、
「―――あ」
「映っ、た?」
“世界扉”に像が結び新たな光景が浮かび上がった。
その光景を前にして、各自の胸中にまた新たな思いが浮かび上がるが、その中でも最も強かったのは、以外にも―――
「―――まさ、か」
士郎であった。
波打つ湖面のように歪んでい
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