第十三章 聖国の世界扉
第七話 世界扉
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息を一つついた。
「無駄なことはしない主義でな、貴様がそう言うからには、それなりの根拠と証拠があるということだろう」
「ちょ、シロウ、聖下に対してその言い―――」
「構いませんよミス・ルイズ。先程よりもこちらの方がわたくしには好ましいですから―――先程までどうも壁のようなものを感じていましたからね」
貴人に対する言葉使いとは思えない士郎の乱暴な言動に、ルイズが慌てて声を上げるが、それを止めたのは当の本人であるヴィットーリオだった。ヴィットーリオは口元に微かな笑みを浮かべると、士郎に向かって笑いかけた。
「では、話を戻しますが、あなたは“異世界”から来たという事で間違いはありませんね」
「―――さて、それはどうかな」
とぼけたような声で応え首を捻る士郎に、笑みを浮かべるヴィットーリオの頬が小さくピクリと動いた。
「それは……どう言う意味でしょうか?」
「なに、ただ俺は否定も肯定もしないと言っているだけだ。そもそも俺が何処から来たか等わかっても何の意味がないだろうに」
「いいえ、そうは思いません」
肩を竦める士郎に、ヴィットーリオは首を大きく左右に振ってみせた。
「ほう、それはどうしてだ」
「もし、あなたが“異世界”から来たのだとしたら」
士郎の目が鋭くヴィットーリオを貫く。刃物に似た視線を受けたヴィットーリオは、口元に浮かべていた笑みを深くし―――
「―――帰りたくはありませんか? 元の世界に」
―――誘惑する悪魔のように囁いた。
「な、に?」
「「―――ッ!?」」
士郎が目を見開き、驚愕の声を上げる横で、声のない悲鳴を上げるルイズとアンリエッタ。
身構えるように士郎がヴィットーリオに向き合い、探るような視線を向ける。
「それは……どういう意味だ」
「言葉通りですよ」
ヴィットーリオは何時もの通り慈愛に満ちた笑みを浮かべながら、取引を持ちかける悪魔のように甘い声で士郎に囁く。その代償は何かを告げる事なく―――。
「帰りたくはありませんか、あなたが元いた世界に」
「……お前の言った通り例え俺が異世界から来たとしても、その手段がない以上、その問いに意味はない」
囁きを、士郎はキッパリとした声で切り捨てる―――が、ヴィットーリオは目を丸くした後カラカラと笑い声を上げた。
「ははは……何を言っているんですか? 先程あなたが自分で言ったではありませんか」
「何を―――」
「わたくしがここまで言うということは、それなりの根拠とかがあると言うことですよ。例えば、そう―――異世界に繋がる魔法がある―――とか、ね」
ニヤリと笑い告げたヴィットーリオの言葉に対し、
「―――ッ!!?」
ルイズは息を飲み、
「っ、
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