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剣の丘に花は咲く 
第十三章 聖国の世界扉
第七話 世界扉 
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める』、デルフリンガーが言っていたのを思い出す。
 しかし、それは自分以外の担い手も同しなのだろうか?
 当たり前に浮かぶその疑問を感じたのか、ヴィットーリオはルイズに笑み浮かべ肯定する。

「“四の担い手”であれば、“秘宝”はそれが何者であっても応えてくれます」

 そういうものなのだろうか、とヴィットーリオの言葉に頷きながら、ルイズは促されるままティファニアに“始祖の祈祷書”を差し出した。差し出される“始祖の祈祷書”から顔を上げると、ティファニアは逡巡するようにルイズ、そしてヴィットーリオの順に視線を向けた。

「その、頑張って……?」
「さあ」

 何となく応援するルイズの声援を受けながら、ティファニアはヴィットーリオに促されるまま“始祖の祈祷書”を受け取る。深く息を吸い、吐くと同時にページを開いた。
 勢い身構える皆の前で、ティファニアは“始祖の祈祷書”のページを一枚、一枚と捲っていく。
 そして、広い部屋の中に響いていたパラリ、パラリとページが捲られる音が、唐突に止まった。
 誰かのゴクリと唾を呑む音が響いた。

「え、えっと、その、何か書いてあった?」
「何も……書かれていません」

 ティファニアが首を横に振りながら答えると、ヴィットーリオが一歩前に進み出た。

「どうやら、あなたにはまだ“時期”が来ていないのでしょう。心配なさらずとも、いずれあなたにも読む事ができますよ。さあ、それでは次はわたくしの番です」

 ヴィットーリオの言葉に安堵の表情を見せるティファニア。ティファニアの手から“始祖の祈祷書”を受け取ったヴィットーリオは、しかしその場で開く事はなく、顔を上げ士郎に視線を向けた。

「ですが、その前に少しあなたにお尋ねしたことがあるのですが―――ミスタ・シロウ」
「―――ほう」

 その瞬間―――執務室にピリリとした電流に似た何かが走った。

「そうですね。迂遠な言い方ですと、誤解や―――誤魔化される事がありますからね」

 ヴィットーリオの顔から微笑が消え―――冷たささえ感じられる真剣な顔が現れる。



「エミヤシロウ―――あなたは異世界から来たのではありませんか」



 

「い、異世界?」
「―――っ」
「なっ―――どうして」
「……」

 戸惑う者、困惑する者、驚愕する者、様子を伺う者、様々な感情が入り乱れる中―――当事者である士郎は変わらず腕を組んだ姿で静かな視線をヴィットーリオに向けていた。
 
「否定はしないのですか?」

 目を細め、口の端を曲げた形だけの笑みを浮かべたヴィットーリオが、士郎に問い掛ける。笑っているのに笑っていない。まるで笑みを浮かべた人形のようなそれに、しかし士郎の表情は微動だにせず、ただ小さくため
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