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剣の丘に花は咲く 
第十三章 聖国の世界扉
第七話 世界扉 
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ら、開発から数十年も様々な改良が加えられながらも現在まで多くの紛争地帯において使用されている小銃である。
 士郎も何度となく使用した銃器であり、慣れた手つきで弾倉を確認すると、弾はしっかりと入っていた。AK小銃が置かれていた棚には、他にも様々な銃器が並んでいる。どれもハルケギニアのものではない、士郎のいた世界の銃器―――それが十数丁。現代の銃以外にも、ハルケギニアで使われているマスケット銃と同じ種類の銃もあった。中には錆が浮いているものやら明らかに壊れているものもあるが、数丁は使用に難はないと思われるものもある。

「これはそんな名前だったんですね」
「……ここは武器庫、なのか?」

 棚に戻した小銃に手を触れながら感慨深げに頷いているジュリオをよそに、士郎は他の棚を見渡した。
 銃器が置かれた棚の他にも、剣や槍等の武器が雑多に並べられた棚がズラリと並んでいた。共通する点は一つ。地球製の武器であること。手に持てるような武器の他にも、棚に並べられない大砲等の兵器の姿もあった。かつて魔法学院の宝物庫に“破壊の杖”として保管されていたロケットランチャーと同様のものもあった。その殆どが使用不可能な程に壊れているか、劣化しているかだが、中には先程の銃と同じく十分使用に耐えうるものもあった。

「その通りです。ここにあるものは全て、東の地で見つかったもので―――ぼくたちが“場違いな工芸品”と呼ぶ“武器”です。何百年も昔から、ぼくたちが放った密偵たちが、長い年月を掛けてエルフの目を盗み集めてきた代物ですよ。見つけ次第“固定化”を掛けて保存しているので、既に壊れていたもの以外は今でも使える筈です」
「―――東の地?」

 士郎は大人一人分はあるだろう、床にごろり転がっているジェット戦闘機の機首に手を置きながら、ジュリオに問い掛ける。

「ええ、東の地―――正確に言えば、“聖地”の近くと言いましょうか、そこで、これらの“武器”は発見されました」

 『そして―――』と言葉を続け、ジュリオは部屋の奥へと歩を進めた。

あなた(・・・)の“武器”はこれだけではありません」

 ジュリオの後を付いていくと、部屋の奥に聳える油布が被せられた小山の前へと辿り着いた。微かに届く魔法のランプの明かりに浮かび上がるそれは、油布越しにも独特の圧迫感を感じられる。

「これは……」

 士郎の目が訝しげに細まると、ジュリオが油布を掴み、一息に引っ張った。油布が地面へと落ち、床の埃が舞い上がる中、士郎は現れたソレを前に目を見張った。

「―――ティーガー」

 禍々しいまでの破壊の威を放ち鎮座する鋼鉄の塊。
 ティーガーT―――タイガー戦車とも呼ばれる兵器であった。
 8.8cm砲による精密な射撃、正面100mmの鉄壁の装甲。装甲火力
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