第十三章 聖国の世界扉
第七話 世界扉
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唯一人、士郎だけが部屋に閉じこもる事なく、部屋に閉じこもったルイズたちの心配をするキュルケたちの相手をしていた。士郎は部屋に閉じこもったまま出てこないルイズやティファニアに声を掛けたが、ドア越しに『大丈夫』と言う一言を返されるだけであった。
そしてそのまま夜となり―――日が登り今に至ると言うことである。
結局士郎はあの後、ルイズたちとはまともに話すことは出来ないでいた。
教皇の作戦が明日に迫る中、こんな様子では流石に危険だと感じた士郎は、何としてでもルイズたちと話し合わなければと考えるが―――そう簡単にはいかないだろうとも思った。
特に、ルイズと―――アンリエッタ。
あの二人は何か様子が変であった。
ヴィットーリオやジュリオたちが“世界扉”の異常や、それにより映し出された謎の女性に対し戸惑う中、ルイズとアンリエッタの二人は、明らかに他の者たちとは違った感情を見せていた。
あれは、一体何だったのだろうか?
それもあって、昨日士郎は部屋に閉じこもったルイズたちに強く迫ることが出来ないでいた。
士郎が寝起き何度目かのため息を冷えた空気の中に落としかけた―――その時、ノックの音が響いた。
扉を開くと、そこには一日ぶりに見るジュリオの姿があった。士郎と目が合うと、ジュリオは左右の瞳の色が違う目を細めて笑みを浮かべる。
「おはようございます」
「……ああ、おはよう」
昨日の事がなかったかのように、何時も通りの笑みを浮かべるジュリオに、士郎は警戒心を上げながらも返事を返す。
「で、何のようだ? こんな朝早くから」
「ええ。あなたに少し―――お見せしたいものがありまして」
「俺に?」
「はい―――あなただけにです」
怪しげな光を灯らせた月目を細め、ジュリオは士郎に頭を下げた。
「―――随分と地下深くに潜るんだな」
「ええ、あまり人目に着く場所には置いておけないので、ああそこは少し脆くなっていますので気をつけて下さい」
「そこまで警戒する必要があるのか?」
「まあ、あなたも見れば納得していただけるとは思いますよ」
ジュリオに促され向かった先は、大聖堂の地下に存在する通路であった。大聖堂の奥に隠された扉の先にあった螺旋階段を下りた先には、人二人がギリギリ横に並べる程度の通路があった。地下特有の湿った空気を照らすのは、通路の壁に掛けられたかがり火だけ。ジュリオはかがり火の中から一本の火のついた薪を手に取ると、それを松明のようにかかげながら歩き出した。炎の揺らめく頼りげのない唯一の光に照らされた通路を、士郎はジュリオに先導され奥へと進んでいく。
「……ここは地下墓地か?」
「そうですね。大昔は地下墓地とし
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