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Magic flare(マジック・フレア)
第1話 本当ハ静カナ町
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横を通り抜け、テラスの先の階段にまっすぐ注がれた。
 唇が開いた。
 イヤホンの中から、その声が鼓膜を刺した。
「見つけて!」
 指が重くなった。
 引き鉄を引けなかった。
 代わりに仲間が仕事をした。
 守護天使は弾けた。弾け、消えた。
 クグチはゆっくりと振り向いた。その守護天使が最期に見たものと、同じものを見た。
 どうやって早川を振り切ったのか、テラスの手すりを握りしめて、灰色の髪を乱した老婆が息を切らして立っている。急激な運動と目の前で展開した出来事のせいで、顔が土気色だ。
 やればやるほどわかってくる。本当はこんな仕事は嫌いだと。
 老婆の膝は今にも折れそうで、大きく開いた口は体じゅうのものを吐きそうで、手すりに体を預ける。自然な動作に見えたが、しかし、続く不自然な動作は明らかに、彼女がわざとやったことだった。
 老いた体が手すりの向こうに消えた。
 銃を手にしたまま、クグチは声も出せずに手すりに駆け寄った。
 老女の体が遥か下の車道に落ちた。
 頭がくしゃりと苺のように潰れ、赤い果汁を散らした。
 その上に路面バスが来た。バスは潰れた苺を車輪に巻きこみ、様々な体の部品をばら撒き、ブレーキをかけて停まった。



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