第七章
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「おばさんも爺さん婆さんもガキ連中もな」
「特に女子高生なんてな」
「アホな願いばかりなのにな」
「契約とかシビアでな」
「何か細かいんだよ」
それで、というのだ。
「後でどうなるかとかな」
「そんなの魂貰うに決まってるだろ」
それが悪魔の契約だ、彼等にとっては何を言わんやだ。
しかしだ、それについても言う彼等だった。
「それ言ったらな」
「お金にしろとかな」
「何年契約とかな」
「金で払うのならいいとかな」
「俺達に金はあまり意味がないんだよ」
魔界には金銀も宝玉も大量にある、それこそ腐る程だ。それでそうしたものには彼等も然程重点を置いていないのだ。
それで人間の魂に価値を置かれている、だがその魂をというのだ。
「そんなの貰ってどうするかとか言ってな」
「金以上に大事なのないだろとか言ってな」
「あいつ等俺達の契約に文句つけてな」
「全部破談になってるな」
「女子高生のでなくてもな」
「大体禿げてきてたり糖尿になってるおっさんがな」
まずい状況であることは彼等でもわかることだ。
「世界平和願ったりな」
「会社の業績上がって欲しいとかな」
「そういうおっさんに限って自分のこと願わないからな」
「それがな」
「何か違うんだよな」
彼等が考えている契約と、というのだ。
「どうもな」
「世界平和とか会社の業績とかな」
「魔神の方々でないと適えられないからな」
彼等の様な下級悪魔ではというのだ。
「そこがな」
「どうにも難しいからな」
「全く、日本人はな」
「適えられる願い言えっての」
「これは駄目だな」
「ああ、この国じゃな」
どうにもと言う彼等だった。
「契約は結べそうにもないな」
「他の国に行くか」
「アメリカや中国だと馬鹿みたいな契約の要求出されるからアウトだけれどな
それこそ世界的な企業の社長にしろだの国政のトップにしろだのトップスターにしろだのだ、こういった国々の人間は個人的な欲望の意味で法外だというのだ。それで彼等はこの国々に行くことは最初から外すのだった。
「何処か素朴な国に行くか」
「素朴なあ、もうそんな国も減ったな」
「全くだぜ、人間も欲深くなったぜ」
「昔はこんなのじゃなかったのにな」
「世の中悪くなったものだ」
「嫌な世の中になったぜ」
ラム酒を飲みながらくだを巻く彼等だった、そうしてこれからのことを考えるのだった。日本のサラリーマン達の願いのことも思い出しながら。
サラリーマンの願い 完
2014・8・22
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