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サインペン
第一章
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してなんだ」
「何か色々書く用途や相手で使い分けていたみたいです」
「自分でわかりやすくする為にか」
「そうみたいですね」
 どうやら、というのだ。
「どっちの独裁者も」
「敵とかをその色で書いて識別していたんだな」
「ええ、多分」
「成程な、どっちも敵だらけだったからな」
 ヒトラーもスターリンもだ、特にスターリンは粛清を繰り返しあまりもの敵の多さに内心常に警戒していたという。
「そうして自分でわかっていたんだな」
「そうだったみたいですよ」
「そうだったんだな、ところでな」
 悠来はここまで聞いてからあらためて愛生に問うた。
「何でそのことを俺に話したんだ?急に」
「いえ、何となく」
 やはり笑って言う愛生だった、悠来の前でその長身をやけに動かしつつ話す。
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