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クリュサオル
第六章
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「駆けつけて助けるべきだからな」
「それで来てくれたのか」
「そういうことだ、ではいいか」
 クリュサオルはその黄金の剣で海蛇と戦いながら言うのだった。
「ここは」
「共にか」
「戦いそしてだ」
「この海蛇を退けるのだな」
「そうするぞ、いいか」
「わかった」
 確かな声でだ、エウペモスは応え。
 そのうえで海の中で泳ぎつつ果敢に海蛇と戦った、巨大な百頭の海蛇の周りを流星の様に二人で泳ぎつつ。
 そうして攻撃を浴びせ相手の攻撃をかわしていた、すると。
 遂にだった、その不死身の怪物も。 
 諦めてだ、海の奥に逃げて行った。そして他の海蛇達もだった。
 百頭の海蛇が消えるとだ、彼等も何処かへと消え去った。海の中に。
 アルゴー号、そしてエウペモスの危機は乗り越えられた、そのことを見届けてからだった。エウペモスは友に言った。
「済まないな」
「気にすることはない」
 クリュサオルは微笑み友に返した。
「私はそなたの友だからな」
「だからか」
「そうだ、こうした時に助けることはな」
「当然か」
「約束したではないか」
 こうも言うのだった。
「何かあればな」
「その時はだな」
「そうだ、助けることをな」
 それ故にというのだ。
「私は来たのだ、それに以前にだ」
「私がか」
「そなたは私を助けてくれた」
「だからか」
「同じだ、気にすることはない」
 こうエウペモスに言うのだった。
「何もな」
「そう言ってくれるか」
「ではだ」
 あらためてだ、クリュサオスはエウペモスに言った。
「冒険を続けるのだ」
「そうさせてもらう」
 クリュサオルは海豚に乗り船のところから去った、そしてエウペモスは公開を続け英雄達は羊の毛皮を手に入れることになる、この一部始終を見届けてからだった。
 ポセイドンはクリュサオルが己の宮殿に来た時にだ、厳かな声で告げた。
「見させてもらった」
「そうでありますか」
「見事だった」
 こう彼に言うのだった。
「そなたの心、実にな」
「いえ、これはです」
「当然だというのだな」
「エウペモスにも言った通りです」
「そう言うのだな、ここでも」
「左様です、私はそう思っています」
「わかった、ではこれからもだ」
 ポセイドンは彼のその心を受け取った、そうしてあらためて彼に告げた。
「その心を忘れるな」
「そうさせて頂きます」
「それがそなたにとって最も大きな宝だからな」
 それ故にというのだ。
「何があっても忘れてはならない」
「そのお言葉肝に銘じておきます」
 クリュサオルも確かな声で応える、そしてだった。
 クリュサオルはエウペモスが戻ったところで彼を己の宮殿に誘い宴を開いた。そして友の無事を二人で祝ったのだった。



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