第九章
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第九章
「案外そういうのもね」
「いいって思ってるんじゃないの?」
「そうかしら」
「だからずっと一緒にいるんじゃない」
「そうよ」
そうだと言うのが皆であった。その遥に対してである。
「だからね。いいでしょ」
「それじゃあ」
「そういうものかしら」
それを聞いても今一つ以上に不安げな顔である。首を傾げさせての言葉である。
「それって」
「お兄さんなら当然でしょ」
「それもね」
「お兄さんなら」
「そうよ、兄は妹を大事にするもの」
「だからよ」
兄と妹という関係である。それである。
「あんたもそれでいいんでしょ?」
「それならね」
「そういうものなの。だったら」
遥はそれを聞いてだ。また話すのであった。
少し首を捻ってだ。言葉もいぶかしむながらのものである。
「私はね」
「私は?」
「どうするの?」
「もうそれでいいわ」
それでいいというのである。迷いながらの言葉ではあるがそれでもだ。
「幸平と離れることなんて考えられないし」
「そうでしょ?お兄さんだし」
「それならね」
「一緒じゃないと駄目よ」
これは離せないことだった。彼女にとっては絶対である。
「何があってもね」
「それならそれでいいじゃない」
「そうよ。そこまで言うならね」
「やるわ。ただしよ」
彼女の表情が変わってきていた。迷いが少しだけ消えた、そんな顔になってである。
あらたな言葉を出すのであった。その言葉は。
「もうちょっとね。私もね」
「あんたも?」
「どうだっていうの?」
「しっかりできるようになるわ」
そうなるというのである。
「しっかりとね」
「そう。それなら頑張りなさい」
「それじゃあね」
皆もそれで背中を押すのだった。
「頑張って一歩進むのよ」
「あんたもね」
「ええ。じゃあ」
ここで幸平のサイドカーが来た。丁度いいタイミングである。
それに乗ってであった。この日は二人で帰る。そして次の日はである。
自分で起きて先に幸平の家に来た。そうして玄関に来たところで丁度家を出て来た彼に対してそのうえでにこりと笑って朝の挨拶をするのであった。
「おはよう」
「って遥!?」
幸平は玄関の前に立つ彼女の姿を見て驚きの声をあげた。
「もう起きたんだ」
「ちょっとね。目が冴えてね」
こういうことにして話すのだった。
「それでね」
「それでなんだ」
「そうなの」
幸平は遥のその話を聞くだけである。何も疑ってはいない。
「それでなんだ」
「そうなのよ。それでね」
「それで?」
「お昼はね」
そのことも話すのだった。
「お弁当用意してあるから」
「お弁当って?」
「そうよ、お弁当作っておいたのよ」
こう彼に話す。
「二
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